【もうすぐ日本初公開】 新型コルベット、なぜミドシップになったのか? 真のライバルとは

公開 : 2019.12.28 11:50  更新 : 2021.10.09 23:53

コルベットはFRであるべきか?

コルベットはFRであるべきか?

こうした議論は、筆者の体験を紐解くと、2000年代前半頃からGM関係者の中で行われていた。

多くのユーザーは「いつの時代でもコルベットが最善パフォーマンスとなることが第一」と理解を示した。
多くのユーザーは「いつの時代でもコルベットが最善パフォーマンスとなることが第一」と理解を示した。

特に、C6(第6世代)が登場した2005年頃、当時のコルベット・チーフエンジニアは将来のコルベットのあるべき姿のひとつとして、「他のレイアウト」の可能性について言及していた。

そのきっかけは、リトラクタブルライトの廃止だった。1963年登場のC2(第2世代)からスティングレーというデザインコンセプトのもと、コルベット=リトラクタブルライトという商品イメージが定着した。

C6開発にあたって、パフォーマンスを上げるために車体構造を大幅に見直す上で、リトラクタブルライトを採用した際に生じる、空力的、また前後重量バランスを追及する上でのネガティブ要因となるため、リトラクタブルライトを継承しなかった。

C6開発中の事前調査の段階で、一部ユーザーからは反発の声も上がったようだが、多くのユーザーは「いつの時代でもコルベットが最善パフォーマンスとなることが第一」と理解を示した。

今回のFRからミドシップ化について、リトラクタブルライト案件と比べれば遥かに大きな変化だが、ユーザーのGMに対する期待としては、同じ方向にあると思う。

新型コルベット、ライバルは誰だ?

ミドシップ化したことで、パフォーマンスが一気に向上した新型コルベット。

ライバルはいったい何か?

パフォーマンス最重視主義であるコルベットが、FRの枠を超えることを決めた段階で、ライバルは一気に増えた。
パフォーマンス最重視主義であるコルベットが、FRの枠を超えることを決めた段階で、ライバルは一気に増えた。

長年に渡り、コルベットのライバルの筆頭は、ポルシェ911である。エンジンレイアウトも、商品性も大きく違う両車。ファン層もしっかりと二分してきた。

ハイパフォーマンス系のアメ車では、シェルビー系のマスタングや、ダッジチャレンジャーも引き合いに出されることもあるが、「コルベットはマッスルカーではない」ことは周知されている。

では、ミドシップ化したことでフェラーリランボルギーニなどイタリアンスーパーカーが、新型コルベットのライバルなのか?

それは、イエスでありノーでもある。

パフォーマンス最重視主義であるコルベットが、FRの枠を超えることを決めた段階で、ライバルは一気に増えた。

その上で、コルベットの強みは、コスパだ。

近年、スーパーカー市場では2000万円台はエントリーモデル。数億円レベルのモデルが次々登場してきた。その中で、コルベットのコスパは極めて高い。

ミドシップ化は、GMにとって最高のマーケティング材料となるのだ。

右ハンドル車も登場する、新型コルベット。日本での走りにいまから期待が高まる。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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