【大型トラックだけじゃない】車輪の脱落事故が冬に集中するワケ 正しいナット選び/確認を
公開 : 2020.01.05 16:50 更新 : 2021.10.13 13:58
大型トラックだけではなく、乗用車にも注意が必要です。車輪の脱落事故が冬に集中しています。理由は、夏/冬タイヤの交換と関係します。また、正しいホイール・ナットを選べているかもキーになっています。
車輪の脱落事故が冬に集中
先月、国土交通省は「平成30年度大型車の車輪脱落事故発生状況」を発表した。
平成30年度のホイール・ボルト折損等による大型車の車輪脱落事故発生件数は81件(うち人身事故3件)と3年連続で増加し、ピークとなった平成16年度の87件に迫る厳しい状況であることが明らかになった。
事故が発生した車両の傾向として、左後輪に脱輪が集中していることに加え、新たにホイール・ボルトやホイールの錆の除去が不十分のままタイヤ交換されているおそれがあることが確認された。
そのため、ボルトの錆の除去など適正な交換作業の実施、交換後、特に脱輪の多い左後輪の重点点検を求めていくと発表されている。
また、平成30年度に発生した車輪脱落事故81件のうち、66.6%に当たる54件が11月から翌2月の冬季に発生。その理由の1つに冬用タイヤへの交換があることは予想に難くないところだ。
車輪脱落事故の主な原因としては、不適切なタイヤ交換作業、交換後の保守管理の不備が挙げられているが、統計を取っているのが大型トラックということだけで、一般ユーザーが乗る普通乗用車にも同様のことが言えるのではないだろうか?
今回は発表された資料を元に、乗用車でも起こり得る車輪脱落事故について考えてみたい。
交換後のチェックが大切
11月から翌2月までの期間に全体の6割以上の脱落事故が集中していることは前述した通り。
車輪の脱着作業を行ってから1か月以内に発生したものが81件中50件とこちらも6割を超えている。
また、その作業を実施したものが誰なのか、というデータではおよそ半数となる49%が大型車ユーザーとなっているのだが、残りの24%がタイヤ業者、21%が整備工場と、合計で45%がプロが実施した作業後に脱落事故が発生してしまっている。
本来はあってはならないことではあるが、プロも人の子。繁忙期ではうっかりミスも増えてしまう可能性も否めない。交換後に自らチェックを行ったり、異変を感じたらすぐにストップしたりといった自己防衛も必要と言えるだろう。
また、今回指摘のあったホイール・ボルトのサビについてだが、ナットを締め付ける際にサビのような異物が入り込んでしまうと適切な締め付けトルクを得ることができず、走行中にナットの緩みを誘発してしまう。
特に積雪地域では融雪剤や凍結防止剤が散布されることで、サビの進行が早まってしまう可能性もある。
そのため、交換時にサビが認められた際はワイヤーブラシなどでしっかり除去することが必要となる。