【レクサス次のEVは?】レクサス「UX 300e」に次ぐレクサスEV導入まで少し時間がかかるワケ

公開 : 2019.12.30 11:50  更新 : 2021.10.09 23:53

プレミアムEV市場への早期参入

もう1つの理由は、プレミアムEV市場への参入表明だ。

世界全体のEV市場は2018年時点で121万台(トヨタ調べ)と小さい。その半数以上を中国が占め、NEV政策が施行された2019年は中国のシェアはさらに拡大していることは確実だ。

ジャガーIペイス
ジャガーIペイス

中国、そしてアメリカの政策に基づいて徐々に成長し始めたEV市場。その中身を見てみると、大きく2つの流れがあることがわかる。

それは、リーフなどのコンベンショナル(一般的な)なEVと、高級路線でのプレミアムEVの二極化だ。

プレミアムEVは、米テスラが創出した市場だが、最近のテスラはモデル3やサイバートラックなど、モデルS/Xに比べて価格帯の低いコンベンショナルな新モデルの開発に注力している。

一方で、ジャガー・ランドローバーは、ジャガーIペイスの成功を受けて、EVモデルを一気に拡充させることを公言している。

また、中国市場ではベンチャー企業を中心に、スーパーカーのようなデザインのプレミアムEVが次々と登場。量産に至らないケースも多々見受けられるが、中国がプレミアムEV市場をけん引するイメージは世界に向けて十分に発信されている。

そうした中国で、レクサスはプレミアムEV市場に本格参入すると表明したのだ。

次期レクサスEVの中身は…

では、UX 300eをきっかけとして、NX、RX、LXというレクサスSUV各モデル、またはIS、ES、LSなどセダン各モデルでも次々とEV化が進むことになるのか?

中長期的な視点では、そうなる可能性は高い。

レクサスUX 300e
レクサスUX 300e

だが、現在(2019年末)から数年間でみると、UX 300eの次のレクサスEV登場までには、少し時間がかかる。

その理由は、EV C.A.スピリットの存在だ。同社は2017年10月に事業を開始した、トヨタ(出資比率90%)、マツダ(5%)、デンソー(5%)がそれぞれ出資するEV開発専門の企業だ。

実際、UX 300eの開発担当者はトヨタ東富士研究所での試乗の際「(レクサスの)現行モデルを使ったEVはUXは最初で最後」と言い、「その先は、EV C.A.スピリットで開発中だ」と現状について説明した。

C-HRとUXは、トヨタ次世代プラットフォームTNGAのGA-Cを採用している。そのため、EV化についてもほぼ同じコンポーネンツで構成されている。その上で、UX 300eではレクサスの「攻めの姿勢」を表現するチューニングを行っている。

以上をまとめてみると、UX 300eは中国など各国や地域に対するEV・CO2規制への対応策であり、かつレクサスの新ブランド戦略の一部。

さらに、トヨタ・レクサスのEV専用モデル登場までの、橋渡し役なのである。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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