アウディA1スポーツバックの日本デビューを記念した特別仕様

公開 : 2020.01.03 20:50  更新 : 2021.10.11 13:51

街乗り&長距離に適したモデル

操舵反応も比較的穏やか。シャシー仕様がアドバンスドということもあるのだろうが、操舵に対して素直な回頭反応とラインコントロール性を示す。素早い切り返しでも揺れ返しを抑えるような操作は必要なく、これも「過不足なく」であり、自然体の扱い易さだ。

付け加えるならば、LKAの操舵支援も違和感が少ない。とくにACCオフ時の車線逸脱予防操舵支援の操舵介助が絶妙。

操り心地の良いフィールは、街乗りはもちろん、長距離移動に適している。
操り心地の良いフィールは、街乗りはもちろん、長距離移動に適している。

早めに介入し少なく修正というタイプで、保舵力の変化のような操舵補正で、補正が終わった時には車線と車体軸線がいい感じに一致。システム側が制御しているのは分かるが、自分が反射的に補正したような錯覚を覚えるほど。

また、中央車線側やコーナーのアウト側など危険度が高いほど早めに強く介入するなど、リスクをベースにした制御もドライバーの感性と相性がいい。

初めから乗り慣れたクルマのように操れるから印象深くはないし、動力性能でもコーナリング性能でもセオリーどおりにまとまった結果。

ケレン味のない馴染みやすさあるいは操り心地のよさはハイアベレージの長時間走行に適している。ボディサイズからしてもタウンユースに強いのは当然だが、長距離ツアラーとしても優れた走りである。

タウン&ツーリングを高水準でまとめた走りに居心地のいいキャビンである。アウディでは最小クラスだが、しっかりとした設えのシートもあり、後席の居心地は良好。

悠々と表せるほどの寸法的なゆとりはないものの、閉鎖感の少なさもあって大人4名が長時間のドライブを楽しむには不足ない。手頃な汎用性を持ったモデルでもある。

使い勝手も走りも飽きのこない生活のお供

昂揚感と御機嫌は別だな、なんて考えて試乗していた。高性能なスポーツモデルに乗っている時は昂揚感が必須。御機嫌気分なんて緩い気持ちではいられないことも多い。

また、そこまで持っていかないと真価を感じられないのも高性能スポーツモデル。アウディA1スポーツバック35TFSIアドバンスド(1stエディション)は逆側。

すべてがあるべき場所に配置され、直感的な操作が可能なコクピット。
すべてがあるべき場所に配置され、直感的な操作が可能なコクピット。

性能を引き出す面白さではなく、特性等々を何も考えずに気分良く操れるのが妙味。だから御機嫌で走れてしまうし、同乗者がいれば会話も弾むし、エンタメやインフォテインメントも楽しめる。

近年のアウディはスポーティな味わいを売り物にしているが、A1アドバンスドについては80とか100と言われていた穏やかな味わいの時代を少し思い出した。「あくまでも個人の印象です」という添え書き必要だが、また少し志向を変えてきたような印象がある。

1stエディションの価格は443万円。ベースのアドバンスドは365万円だが、今や必須装備と思われるナビパッケージと運転支援装備のアシスタンスパッケージを装着すれば408万円。

欧州プレミアムコンパクトでは標準的な価格設定と言えないこともないが、実用性だけで選ぶには価格のハードルは高い。凄い高性能というわけでもない。

ただ、長く付き合って使い心地のよさや安心感で元を取ると考えるなら悪くない選択だ。

肌触り感覚の運転しやすさや街乗りも遠出も心地よく過ごせる走行感覚。アウディらしいプレミアム感やデザインテイスト等々。手堅くも馴染みやすくもあって、使い勝手も走りも飽きのこないタイプ。要するにレジャーも含めた良質な「生活の供」なのである。

アウディA1スポーツバック1stエディション(35TFSIアドバンスド)のスペック

価格:443万円
全長:4040mm
全幅:1740mm
全高:1435mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:15.6km/L(WLTCモード)
CO2排出量:-
車両重量:-
パワートレイン:直列4気1497ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:150ps/5000-6000rpm
最大トルク:25.5kg-m/1500-3500rpm
ギアボックス:7速オートマティック

コントラストルーフ、エクステリアミラー、フロントリップはブラックで統一されている。
コントラストルーフ、エクステリアミラー、フロントリップはブラックで統一されている。

記事に関わった人々

  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。

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