【マツダCX-30 オフロード試乗】新機能「OTA」とは 4WD車でSUVの真骨頂を評価 CX-5/8と比較

公開 : 2019.12.29 20:50

オフロード・トラクション・アシストON

まったく推進力が無くなるわけではないが、下がった鼻先を持ち上げるだけの駆動力はない。

OTAをオンにする。空転輪の空回りを抑制するとともに接地輪に駆動力が伝わり、ゆっくりと前進し始める。謳い文句のとおりである。

マツダCX-8 XD Lパッケージ
マツダCX-8 XD Lパッケージ

ただ、スリップコントロールの度合いは緩め。クルマによっては宙に浮いた車輪の空転を止めるほど強くブレーキを掛けるが、OTAは空転を少し抑えるくらいの制御。

さらに厳しい状況で強引に脱出を試み続けるとフェイルセーフが作動し、2WD(FF)に固定。これは発熱によるリアデフのリングギア保護のための措置。OTAの空転抑制が他の同様システムに比べて緩い理由はデフ容量の問題と考えていいだろう。

ラフ&オフロード対応力は向上したが、あくまでも現行マツダSUV相対であり、元設計から悪路用途を前提としたモデルと比較するとやはりオンロード志向が強い設計なのだ。

マツダはOTAについて悪路からの脱出が困難な状況においてトラクション性能を最大限に引き出すシステムと解説している。つまりスタックしそうな状況で作動させるものなのだ。踏破性を誇るでもなく自身を冷静に評価している。

「買い」か?

個人的な決め事で恐縮だが、パートタイム4WDの本格オフローダーで単独行で林道に入る場合は2WDを基本としている。

2WDで厳しくなったら4WD、4WDで厳しくなったらデフロックという具合に踏破性能レベルを上げて、最も踏破性能が高い設定を使うことになったら引き返す。帰還できなくなるリスクを最小限に抑えるためである。

マツダCX-30 XD Lパッケージ
マツダCX-30 XD Lパッケージ

OTAの踏破性能はラフ&オフロード視点で見ればそれほど高く評価できない。しかし、帰還するための最後の手段を備えたことは大いに評価できる。

トライアル競技でもなければ、何処まで行けたかよりも無事に帰還できることがSUVにとって重要であり、絶対性能はともかくとしてアウトドアレジャー向けSUVの資質は大きく高まった。

流麗なデザインやオンロードにおけるファントゥドライブが基本なのは変わらないが、SUVのカテゴリーコンセプトに目を向けたのは好感が持てる。これはCX-30がアピールする居住性やユーティリティにも当てはまる。

アウトドアレジャーを軸にした用途でマツダSUVを有力候補として挙げることは難しいが、スタイルやオンロードの走りに惚れてマツダSUVを選ぶなら4WD仕様を勧めたい。全開加速性能や燃費を除けばオンロードの走りでもFF車以上。そこにアウトドアレジャー用途の楽しみも加わって一石二鳥である。

マツダCX-30 XD Lパッケージ スペック

価格:330万5500円
全長:4395mm
全幅:1795mm
全高:1540mm
ホイールベース:2655mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:18.4km/L(WLTCモード)
CO2排出量:-
車両重量:1530kg
パワートレイン:1756cc直4ディーゼル・ターボ
使用燃料:軽油
最高出力:116ps/4000rpm
最大トルク:27.5kg-m/1600-2600rpm
ギアボックス:6速オートマティック

マツダCX-30 XD Lパッケージ
マツダCX-30 XD Lパッケージ

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