【偉大なる血脈】ミハエル・シューマッハの息子、ミック・シューマッハの現在地 目指すは最高の舞台 前編
公開 : 2020.01.18 18:50 更新 : 2020.01.18 19:53
イタリアの情熱
「ほとんどのコーナーを3速で脱出しています。たいていのクルマでは2速でクリアするようなコーナーです」と、彼は熱っぽく話している。
「低回転からのパワーデリバリーと、コーナリングスピードには驚かされました」
「フロントのグリップが素晴らしく、パワーオンすることが出来ます。たいていはアンダーステアに陥ってしまうため、通常アクセルオンには車両が真っ直ぐの状態になるのを待つ必要がありますが、このクルマであればコーナーリング中からの加速が可能です」
「ESPとトラクションコントロールをオフにして、レースモードとスポーツモードを試してみました」
ひとりの若者として、フェラーリのステアリングを握るのは夢だったとミックは話す。
そして、それはフェラーリであれば何でも良いというわけではなく、彼の父が開発に携わった458イタリアである必要があったのだ。
「すべてのフェラーリに父の影響を感じます。そして、それは息子として非常に誇らしいことです」
だからこそ、ミックは父が最後のF1を共に戦ったシルバーアローではなく、フェラーリからのオファーを選んだのだろうか?
「これまでのキャリアと関連しています」と、彼はゆっくりと話す。
「ここへ辿り着いたのは運命だったと思います。ここで育ち、ファン・アメレスフォールトでフォーミュラ4を戦った1シーズンを除いて、つねにイタリアのチームでレースを行ってきました」
「カートではトニー・カートでしたし、プレマもイタリアのチームです」
「イタリアのひとびとのモータースポーツに対する情熱は素晴らしく、それはフェラーリにも言えます。マラネロにいるというのは特別なことなのです」
大きな家族
彼は出来る限りマラネロにいたいと望んでいる。「可能な限りここにいて、フォーミュラ2で成功する秘訣を掴みたいと思っています。それがフォーミュラ1への近道だと考えています」
そして、FDAに参加することで、より優れたレースドライバーになれるとミックは信じている。
「上手く説明できませんが、まるで大きな家族、フェラーリ・ファミリーの一員になるようなものなのです」
同じようにミックは最後のドイツ人F1チャンピオン、ステファン・ベッテルにも強い親近感を抱いており、彼のことを良き師だと考えているようだ。
「父がセバスチャンにとっての師だったように、彼はわたしにとって見習うべき存在なのです」と、彼は話す。
「ある種の繋がりを感じています。彼とはつねにこのスポーツについての話をしています。セバスチャンのことをとても尊敬しているんです。彼にはわたしとは比べ物にならない程の経験があります」
ミックはシューマッハという名がF1界、とりわけドイツ国内でどれほど尊敬されているか理解しているのだろうか?
そして、彼は途轍もないプレッシャーを感じてはいないのだろうか?
「いいえ、プレッシャーなど感じてはいません。わたしはミハエルではなくミックです。このスポーツを愛しています。それこそが何よりも大切なのです」
父ミハエルの乗り物に対する愛はもはや伝説的なものとなっているが、Z世代におけるクルマ離れが加速するなか、その一員でもあるミックにとっての自動車とはどんな存在なのだろう?