【4ドア・スポーツカーへの回答】メルセデスAMG GT 4ドアとは 価格/内装/トランク/走りを検証

公開 : 2020.01.02 20:50  更新 : 2021.10.11 13:50

ライバル車は?

AMG GTが属する4ドア・スポーツカー・カテゴリーの先鞭となったのは、1963年に登場したマセラティクアトロポルテである。長らくライバル不在が続いていた。

しかし、2004年に登場した5代目のクアトロポルテが商業的に成功。これを受けて、2009年にポルシェから同様な4ドアのスポーツカーとしてパナメーラが送り出される。

メルセデスAMG GT 53 4マティック+
メルセデスAMG GT 53 4マティック+

翌2010年になるとアストン マーティンから同じ考え方で製作されたラピードが加わり、一躍注目を集めるカテゴリーとなった。

いずれもスポーツカー・メーカーが新たな可能性を求めて高性能な4ドア・セダンを作り出したもので、奇しくもマセラティ以外の各モデルはリア・ハッチゲートを備える5ドアだった。

こうした中でAMG GTだけは立ち位置が違っていた。

AMGはすでに、メルセデス・ベンツのC、E、Sクラスを高性能化した4ドアのスーパーサルーンを製作している。このため、GTクーペの派生形となるパーソナル・ユース/カジュアル志向の4ドア4座モデルとして作られたのである。

前・後席/荷室

今回試乗したのは3L直6ターボ(435ps)を搭載する中間グレードの「GT 53」。ブリリアント・ブルー・マグノと呼ばれる艶消しのダークブルーが凄みをきかせる外装色で、内装はマキアート・ベージュという強烈な組み合わせ。

車内に乗り込むとSクラスから採用された2連の12.3インチ・ディスプレイが備わる。2ドア・クーペとの大きな違いだ。

メルセデスAMG GT 53 4マティック+の後席
メルセデスAMG GT 53 4マティック+の後席

インストゥルメントパネルから連なる大きなセンターコンソールには、今やSLとAMG GTだけになってしまったフロアセレクターが健在だ。日本人にはやや後方に位置するが、変速用のパドルを始めドライブモード・セレクターなどはすべてステアリング回りに配置されるので何ら気にならない。

4ドア・モデルだけに気になる後席だが、低めのルーフラインながらヘッド・クリアランスは十分で、フットスペースはロング・ホイールベースのおかげで広い。4人で長距離をこなせる快適性が確保されていた。

ラゲッジスペースは広大とは言い難いが、それなりのスペースが用意されているので、実用上は困らないと思われる。

どんな感じ?

テストドライブのコースは丘陵の上にあるホテル周辺の一般道。

AMG GTが本領を発揮できる高速道路や緩やかなコーナーが続くオープンロードではなかったため、その領域は確認できなかった。とはいえ限られた条件下でもそのキャクターの一部が見えてきた。

メルセデスAMG GT 53 4マティック+
メルセデスAMG GT 53 4マティック+

走り出して気付くのは大きさを感じさせない身軽さだった。

これは高いシャシー剛性と、可変ギアレシオの「AMGパラメーターステアリング」に加え、「AMGライド・コントロール+エアサスペンション」が瞬時にスプリング・レートを切り替えることで生まれる正確なハンドリングの賜物だ。

GT 2ドア・クーペをデビュー直後に試乗した時は、ストップ・アンド・ゴーが続く状況でデュアル・クラッチ・トランスミッションのマナーが今ひとつだと感じた。

「GT 53」は、トルクコンバーター式の9Gトロニックを専用チューニングしたAMGスピードシフトTCTが搭載されているため、あらゆる場面でスムースな変速を見せてくれた。

記事に関わった人々

  • 前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)

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