【驚きの体験】チーフテン戦車を操縦 売り先には注意 顧客には陸軍も 前編
公開 : 2020.01.25 18:50
君子危うきに近寄らず
ブレーキを使った旋回を試してみる前に3速へとシフトアップしてみるが、戦車はこのアップシフトに正確かつ迅速に反応してみせる。
ニュートラルターンと呼ばれる、その場での旋回を試みたもののこの挑戦は失敗に終わっている。ニュートラルターンを成功させるには、チーフテンのフルパワーとほぼ完ぺきな条件が必要となるのだ。
この戦車の旋回性能はほとんどのクルマを凌駕している。敵の戦車からの砲弾を避けるには必要な能力だからだ。
だが、この能力を発揮させるには、わたしが敵を確認するとともに、アルミニウム製ラダーを失う様なマネをしないことが条件となる。
ほとんどの日々をこの荒地を歩くようなスピードで這いずり廻って、クルマを押し潰すことに費やしてきたにもかかわらず、この戦車のエンジンは完ぺきな状態を保っていた。
それでもこの戦車のオーナー、ニック・ミードの耳は常に異音がしないかチェックに余念がない。彼が特に警戒しているのがスーパーチャージャーのシール異状だ。
万一この異常が発生した場合、159Lものオイルがエンジンへと流れ込み、最終的には12個のピストンがクルーのいるキャビンへと飛び出すことになる。
決して想像したくない事態であり、君子危うきに近寄らずだ。