【趣味と実益を叶える】VWパサート2.0 TSI Rラインに試乗 英国では150台限定
公開 : 2020.01.09 09:50
快適性を犠牲にしない適度なホットさ
高速道路に乗ればテスラ製システムのように自律走行が可能で、他社のレーンキープアシスト機能より優れている印象。ステアリングホイールには感知機能があり、トラベルアシストを利用している間も、常に手を添えている必要がある。
サスペンションは基本的に変更を受けておらず、想像通りパサートらしい乗り心地。19インチホイールのおかげで、高速道路でのロードノイズは大きく、鋭い入力は比較的強めに車内に伝えてしまう。
しかしサスペンションの設定を最も硬い状態にしない限り、路面の凹凸を感じることはないだろう。コンフォートモードを選べば、名称に違わない乗り心地が得られる。
4気筒エンジンは常に静かで、トランスミッションの変速も滑らか。走行フィーリングは穏やかで、スポーティさを高めたことによる快適性への犠牲はほぼないといえるだろう。
ドライビングモードを積極的な方へ合わせれば、明確に活発さが追加される。エンジンはスムーズに吹け上がるが、4気筒ガソリンターボとしては平均的な部類。ターボブーストの高まりに合わせて、中回転域でトルクが急に盛り上がることもない。
高めのギアに入った状態で、3000rpm前後での力強さでは、パサートGTEの方が上。しかしパサート2.0 Rライン・エディションもスロットルレスポンスに優れ、リニアにパワーが立ち上がり、適度なホットさがある。充分に楽しく、夢中になれる。
安くはない価格をどう捉えるか
ツインクラッチATは、Sモードにすると変速ショックがやや強くなる。パドルシフトを操作してシフトダウンさせる時、まれに期待より時間がかかることもあった。全般的には充分にクイックだから許容できる範囲だし、すぐに慣れるだろう。
殆どの場面でグリップ力は高く、入力に対する反応も正確。クルマのサイズを考えれば、快適性を残しつつ、姿勢制御にも優れている。
郊外の開けた道に出れば、フィードバックは濃くないものの、適度な活気と柔軟さの中でドライビングを楽しめる。ステアリングホイールに伝わる情報量は薄くても、直感的に操れるはず。
フォルクスワーゲンは、このパサート2.0Rライン・エディションのみ、電子制御スタビリティコントロールのオンオフを可能としている。しかし、シャシーが改良を受けているわけではない。
英国での価格は、フォルクスワーゲン・ファンでも安くは感じないだろう。一回り大きいボディサイズに固執しないのなら、間もなく入れ替わる7代目ゴルフRエステートより6000ポンド(84万円)も高い価格は納得し難い。
ドライバーの得られる一体感や満足感でいうと、4万4000ポンド(616万円)で手に入る、後輪駆動のベストに匹敵するほどではない。ゴルフRエステートの方がスピードや個性といった面では一枚上手だと思う。最高レベルのパサートを作ることは、ゴルフ以上に難しいのかもしれない。