【プジョーと基礎を共有】ボクソール(オペル)・コルサに試乗 英国売れ筋モデル
公開 : 2020.01.11 09:50
インテリアもコルサの専用デザイン
ダッシュボードのデザインは、それほど個性的なアプローチは取られていない。スタイル優先ではなく、ちゃんと人間工学を考え、使いやすさを重視したデザインだと思う。品質にも優れ、モニターから独立したエアコンの操作スイッチやメーターパネルはコルサ専用品だ。
プジョー208はiコクピットが採用され、ステアリングホイールが小径なものだが、コルサは通常の大きさのものを採用。PSAグループのクルマらしく、グローブボックスはヒューズボックスの横に配され小サイズ。
ペダルの位置は手前にありすぎ、背の高い人は足を折り曲げるか、シートを不自然に後ろにスライドすることになる。変更には手間がかかりすぎるのだろう。
上位グレードのクルマの場合、インフォテイメント・システムのモニターは10インチとなるが、中位グレード以下になると7インチにサイズダウン。小さく見えるだけでなく、画面下部に表示される便利なショートカットも消えてしまう。
新しいコルサも、プジョー208と同様に、ガソリンやディーゼルエンジン版と、電気モーター版を同じ製造ラインで組み立てることができる。ボクソールとしては、車内空間を削ることなくEV版を用意できることは誇らしいはず。
その反面、大人が座るにはリアシートは少々狭い。パッケージングの面で妥協が必要だったようだ。ヘッドルームには余裕があるものの、足元の空間はライバルより明らかに狭い。荷室容量は309Lで、競争力は悪くないといえる。
プジョー208より明快で積極的なコーナリング
車重は標準モデルなら980kgに留まり、先代より108kgも軽くなっている。バッテリーを搭載するEVを前提として、軽量化に技術が投じられているのだろう。おかげで紙面上のスペックだけでなく、燃費やハンドリングなどに良い影響が及んでいる。
1.2L 3気筒オールアルミ・ガソリンエンジンは最も販売台数を稼ぐユニットと予想され、実用性は高い。低回転域から力強く扱いやすく、回転域を問わずフィーリングは上質。
走行性能として充分な能力を発揮してくれるものの、5000rpmも回すと息切れ感が出てしまう。回転数は引っ張らず、テンポよくシフトアップした方が良さそうだ。変速はスムーズだが、特に楽しめるタイプではない。シフトノブは大きく、ストロークも長い。
ボクソールにも129ps版の設定が欲しい。ホットハッチ的な雰囲気が与えられたクルマを試してみたい。可能性はゼロではなさそうだが、ATのみの設定になるかもしれない。追加となるパワーは、良質なシャシーも含めてクルマを引き上げると思う。
ターンインはプジョー208より明快で積極的。ロンドンの南、ウェスト・サセックス州の郊外の一般道では、本気で攻め立てた走りは叶わなかったものの、グリップは高く姿勢制御も良好だった。
今回の試乗車となったのはSRIグレード。スポーツモードのスイッチや、エンジンサウンドの拡張機能、サスペンション・タワーの補強ブレースなどを装備する。効果は期待したほどではないし、フォード・フィエスタ並みの笑顔を生み出してはくれないが、適度な楽しさは備わり、競争力は充分にある。