【量産するワケじゃない】ソニーがEVプロトタイプを世界初公開 なぜ量産しない?
公開 : 2020.01.08 20:50 更新 : 2021.10.09 23:55
ソニーの関心事、EVより自動運転
電池事業からの撤退と入れ替わるように、ソニーは経営資源を画像処理センサーとなる半導体事業に集中的に投下した。
背景にあるのが、ADAS(高度な運転者支援システム)や、その延長上にある自動運転で必要とされる、画像認識技術だ。
商品としては、ソニーではCMOSイメージセンサーと呼ぶ。
筆者はこれまで、世界各地の各種会議等でソニー関係者から直接、CMOSイメージセンサーについての詳細な説明を受けてきた。
販売先としては、自動車メーカー、またはティア1と呼ばれる自動車部品大手を上げていたが、近年はCMOSイメージセンサーの売り上げは順調に推移し、ソニーは国内最大級の半導体メーカーにまで成長した。
ソニーの事業は現在、大きく6つ。
・ゲーム&ネットワークサービス
・音楽
・映画
・エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション
・金融、
・CMOSイメージセンサーが好調のイメージングセンシングソリューション
2019年通期の予想では、イメージセンシングソリューションの売り上げ高は1兆400億円となり、映画事業を抜く可能性がある。
焦点はデータプラットフォームか?
ADAS機能搭載の義務化や、自動運転レベルの向上など、今後数年間はソニーの半導体技術を使ったセンサーの需要が右肩上がりになる可能性がある。
今後、ソニーとしては、車外カメラと車内カメラを中核として、ソニーが直接関与していないレーダーやライダーなど他のセンサーとの連携を、ソニーが主導して行いたいとしている。
そうなると、焦点となるのが集まったデータを解析/分析し、より価値の高いデータとして多角的に活用することだ。
こうしたデータ活用ビジネスについては、単眼カメラでの画像認識向け半導体ビジネスの大手で、現在は米インテル傘下のイスラエル・モービルアイが提唱している。
こうした車載センサーを基盤とした、データプラットフォーマーになることが、ソニーにとって大きな利益をもたらす可能性がある。
さらにいえば、ゲームやテレビなどソニーの他の事業を、車載エンターテイメントとして活用し、そこから得られる個人データも大きな収益源となるだろう。
今回、ソニーがCES 2020で世界初公開した「ヴィジョンS」は、単なるEVプロトタイプではなく、ソニーの次世代ビジネスを象徴するプラットフォームだといえる。