【ルノー製ターボマシンの代名詞】5ターボ2と5ゴルディーニ・ターボ 前編
公開 : 2020.01.19 07:20 更新 : 2021.02.02 12:41
コンセプトカーと誤解を招いた5ターボ
レーシングドライバーのジェラール・ラルースは1978年に5ターボのプロトタイプをドライブ。アルピーヌ社が拠点をおくフランス周辺で開発テストを重ねた。
パリ・モーターショーに赤いボディの5ターボが展示されたが、多くの人はコンセプトカーだと考えたらしい。そのシーズンの終わりには、フランスのポール・リカール・サーキットで開かれたジャーナリストを招いたイベントで、黒いプロトタイプが紹介された。
「1.4Lエンジンをミドシップした、ルノーR5ターボ! このクルマはジョークではありません。量産が決定し、ルノーは再び世界ラリー選手権でのタイトルを狙います。F-1での成功との関係性も匂わせます」 とモータースポーツ誌は大きく掲載した。
ドライバーの後ろに搭載されるエンジンは、ゴルディーニと同じ1397ccの旧式なプッシュロッド。リアシートのあった部分には、派手なレッドかブルーのカーペットで仕上げられたカバーが付けられた。カーペットのカラーはボディカラーと反対のものが選ばれていた。
ギャレット製T3ターボチャージャーにより、94psだったエンジンは162psを獲得。圧縮比は7:1だ。トランスミッションはルノー16のものではなく、アルピーヌA310に搭載されていたタイプ369が選ばれた。レース仕様の場合、最高出力はさらに100ps程が上乗せになっていたという。
ツール・ド・コルス・ラリーでのステージ優勝
ルノー5ターボのボンネットやドア、ルーフなどのボディパネルはアルミニウムが用いられ、20kg相当を軽量化。窓ガラスは標準の5から1mm薄くなり、プラスティックや軽量なスチールをフェンダーやトリムパーツに用い、さらに30kgを削っている。最終的な車重は1tを切っている。
ルノーR5アルピーヌのレース用サスペンションをフロントに、A310のものがリアに採用され、ロードホールディング性も抜群。前後の重量配分は40:60となっているが、見た目はしっかりルノー5の雰囲気を残す。
今回取り上げるのはルノー5ターボ2だが、フランスのラ・フェルテ・ゴシェ・サーキットで5ゴルディーニの隣に並んでも、ルノー5だとはわかる。直線的なボディラインと、少し突き出たテールライトは相似形。リアフェンダーは車幅を200mmも広げるだけ飛び出ている。
1980年のブリュッセル・モーターショーが終わった6月に5ターボのオーダーが開始。ルノーは世界ラリー選手権のグループ4へ参戦する要件を満たすために、400台を製造する必要があった。左ハンドルのみで、英国には正規輸入されることはなかった。
ジャン・ラニョッティはワークスのルノー5ターボをドライブ。フランスのツール・ド・コルス・ラリーでステージ優勝を重ねる。リタイヤは、オルタネーターのトラブルのみだった。
続きは後編にて。