ロードテスト フォルクスワーゲン・グランドカリフォルニア ★★★★★★★☆☆☆
公開 : 2020.01.11 11:50 更新 : 2020.01.20 06:05
走り ★★★★★☆☆☆☆☆
キャンピングカーの専門メディアで、フルサイズのモーターホームのパフォーマンスに触れているのは滅多に見かけない。メーカーがそうした数値を公表することもあまりない。
オートカー的にも、この手のクルマをロードテストに持ち込むのははじめてなので、基準になるものが見当たらない。そこで、下位モデルであるカリフォルニアのベースで、2015年にテストしたカラベルのデータと比較してみる。
そこから言えるのは、より小型のミニバンなどから上級移行すると、キャビンの広さや装備はグレードアップするが、引き換えに走りはある程度の妥協を強いられるということだ。
グランドカリフォルニアは、感覚も走りも大型商用車のそれに限りなく近い。そして、下位のカリフォルニアとは違って、乗用車的な部分はまったくない。
明らかにローギアードでありながら、イマドキの乗用車の遅い部類と比べても、さらに加速が遅い。また、静粛性に優れたエンジンとATの組み合わせが、走行中もそこそこの洗練度を感じさせるのに、運転が楽にできるクルマではない。
すべては、そのサイズによるものだ。その結果、カリフォルニアやメルセデスのマルコ・ポーロと違って、ファミリーユースのセカンドカーとして使うことがまず不可能となっている。
0-97km/h加速タイムは16秒、変速ありでの48-113km/hはそれ以上かかる。それでも、それに馴染んでしまえば、そこそこ運転しやすく、加速のレスポンスも悪くない。
なかなかにギアボックスはなめらかで、市街地での速度域であってもシフトチェンジをうまくこなす。カントリーロードでは、英国の交通法規に触れない80km/h巡航を維持するのも難しいことではない。
だが、そこから高速道路のスピード域まで引っ張るのは骨が折れる仕事だ。空気抵抗は燃費を悪化させ、Aピラーと大きなドアミラーの辺りからは甲高い風切り音が聞こえてくる。一旦スピードが乗ってしまえば、それをキープするのに十分なトルクはあるのだが。
エマージェンシーブレーキはまずまずだが、現在の大型乗用車の基準にはだいぶ届かない。いい知らせは、ブレーキペダルを思い切り踏み込んでも安定していて、進路を乱しはしないこと。
激しくフロントがだいぶすることもない。制動力の配分機能や、電子制御によるブーストは、期待通りに働いてくれる。