【見るべきはPHEVの長所】ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッドに試乗
公開 : 2020.01.17 09:50
0-100km/h加速5.2秒、最高速度254km/h
さらに高速道路も交えた、より好条件での130kmの走行では、ベンテイガ・ハイブリッドは14.1km/L以上を記録している。ロンドンを終日ノロノロと走っている限り、電気エネルギーだけで走行できていた。
長距離を走ってエンジンが目覚めても、普通に運転している限り、幸せを感じるクルマのままだ。ナビに目的地を入力しておけば、ガソリンとバッテリーの最も効率的にエネルギーを利用した走行を、自動で選択してくれる。
確かにアメリカでの試乗のとおり、サウンドやパフォーマンスの面で楽しさやドラマチックさは小さい。ベントレーがこれまで積んできた、V型8気筒やW型12気筒エンジンといった名ユニットと比較してしまうと明らかだ。
それでも運動神経は悪くなく、0-100km/h加速は5.2秒で、最高速度は254km/h。その過程でベントレーらしい魅力が薄くても、実際には素晴らしい実力を持っている。
電気モーターとバッテリーの恩恵は高く評価できる。それを踏まえるとエンジンも不満はなく、充分褒められる仕上がりを得ている。ベンテイガを考えているドライバーでも、電動化技術で得られるメリットを中心に考えれば、ハイブリッドは検討するに値するはずだ。
フランケルなら、パワフルで音色豊かな、より従来のベントレーらしいV8エンジンを選ぶのだろう。その場合ほぼ確実に、車両価格からすれば小さい6400ポンド(90万円)の追加料金が必要となる。
巨大なSUVが無音で力強く走る事実
裕福な層の節税対策モデルだとは呼ばないで欲しい。都市部での渋滞税を減らし、中心部へ立ち入りが許される、短いゼロ・エミッション走行だけが目的ではない。走行性能や周囲からの見られ方を、大多数とは異なる基準で判断するドライバーもいるのだ。
自動車通勤で距離が短いドライバーなら、EVモードでの上質なドライビング体験を毎日楽しむことができる。少し長くても、ガソリンエンジン・モデルよりも優れた燃費には満足感が得られるだろう。
筆者の場合、本物のパフォーマンスカーや、4シーターのパフォーマンス・モデルを選ぶなら、そもそも2.5tもあるSUVを選ぶことはない。ベンテイガ・ハイブリッドに惹かれるドライバーの多くは、大きなガレージに別の個性を主張できる別のクルマを所有しているケースが大多数なはず。
ベンテイガ・ハイブリッドが、万人受けするモデルではないことは確か。強く主張できるほどの中身ではないかもしれない。
しかし、これほど巨体のSUVが、ほぼ無音で力強く走るという事実を無視することはできない。ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッドは、モデル・ラインナップに加えるだけの明確なメリットを備えていると思う。
ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッドのスペック
価格:13万500ポンド(1853万円)
全長:5140mm
全幅:1998mm
全高:1742mm
最高速度:254km/h
0-100km/h加速:5.5秒
燃費:28.5km/L
CO2排出量:79g/km
乾燥重量:2626kg
パワートレイン:V型6気筒2995ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:449ps(システム総合)
最大トルク:71.2kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック