【コンパクト・クロスオーバーの新基準】フォード・プーマ STラインに初試乗

公開 : 2020.01.19 10:20

質感は良くても個性が薄いインテリア

今回の試乗車は、メガボックスが付くマイルドハイブリッドの155ps版。0-100km/h加速は9.0秒で、燃費は18.0km/Lとなる。STラインXというトリムグレードを装備し、価格は2万ポンドをわずかにオーバー。このクルマの場合は、2万3645ポンド(335万円)だ。

車内は特に強い個性を放つ部分はない。ダッシュボードには突き出るかたちで8.0インチのタッチモニターを搭載され、アップル・カープレイが無償で使える。ドライバーの正面には、フルモニターとなるデジタルメーターがレイアウトされている。

フォード・プーマ 1.0エコブースト 155 STラインX
フォード・プーマ 1.0エコブースト 155 STラインX

ドアパネルの上部にはソフト加工された素材が用いられているが、硬いままの部品も少なくない。組み立ての質感は高く、クロームメッキされている部品の一部は、実際に金属のように見える。だが、すべてのフォードマークを取り外したら、ヒュンダイの車内だと聞いても疑わないかもしれない。

シートはフラット気味ながら、人間工学的には良好。アイドリング時のエンジンは静か。試乗車には6速マニュアルが搭載されていたが、オートマティックも選べる。それは別の機会で確かめたい。マニュアルの場合、ペダルの重み付けが適度で、運転はしやすい。

フォード製モデルの多くは、ドライバーの気持ちをそそり、印象の良い一貫した操縦性を備えている。プーマにもしっかりそれが受け継がれ、クロスオーバーだとたかを括っていると、その良さに感銘するだろう。

走りと乗り心地とのオリジナルブレンド

ところが最初の驚きは、フォードとしてはステアリングが妙に軽いこと。軽く手に添えて支持する程度の操舵力で向きを変えられる。パワーアシストを弱めると、トルクステアが強く感じられるようになるためだろうか。

ドライビングモードはいくつか選択できる。スポーツモードを選べば、ステアリングは重くなり、印象は良くなった。筆者があえて重めのステアリング設定にしたい、珍しい1台といえる。

フォード・プーマ 1.0エコブースト 155 STラインX
フォード・プーマ 1.0エコブースト 155 STラインX

同じように、ブレーキペダルの踏み初めの感触が軽すぎる。ストットルも、クラッチを切ると反応が尖すぎるきらいがある。まるでスターター・ジェネレーターとエンジンとの調和が取れていないようだ。

それ意外の場面では、エンジンはスムーズで静か。感動的に良い。トランスミッションは歯切れ良く、乗り心地は全般的に落ち着きがある。フォードらしく安心できる部分だといえる。

コーナリング時のボディロールは、立ち上がりで若干鋭い。ミニ・カントリーマンのように、機敏さを強く感じさせるものなのだろう。しかし一旦落ち着けば、コーナリング時の姿勢は安定感が高く、不安感はない。

セアト・アローナの方が進行方向を変える鋭さは高いかもしれない。だが向こうは、どこかスケートボードのような乗り心地がある。ライバルモデルと、英国の道で比較試乗をして違いを確認したいところだ。

第一印象では、プーマの方が操縦性と乗り心地、機敏性とが融合し、秀でたオリジナルブレンドに仕上がっている。ライバルより優れているように思える。

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