ビジネス方針が招いたアポロ計画の失速

「ロータスのシートをシャシーに置き、試運転。シャシーとスケールモデルをイタリアへ送り、ボディが届いたのは半年後です。（カーデザイナーの）スカリオーネが手直しをしていましたが、基本的なシェイプはブレシアのデザインでした」

「英国で働いていた時期に見たEタイプのデザインが好きで、そのプロポーションを、イタリアンなスタイルで仕上げたいと思ったんです。アポロは話題になりましたよ。ジャガーより高かったものの、フェラーリより安かったんです」

「ある時、リンカーン・マーキュリーのトレーニング・プログラムに参加していたジョージ・フィンリーが、セールスマネージャーになりたいと申し出たんです。彼は積極的に動き、1年で7カ所のディーラーを立ち上げました」

「歌手のパット・ブーンにアポロが売れると、人気が高まりました。運転が難しいという理由で、フェラーリを下取りしています。レースカーのシャシーですが、パワーステアリングやブレーキアシストは付いていませんからね。アポロは日常的な運転が前提ですし、ATも用意していました」

「アポロを潰したのは、資本を増やさず、生産を倍に伸ばす計画のため。多くの人が望むクルマを作れないことに、10年間は悩みました。それ以来、同じ過ちは犯していません。ビジネスには、常に適切な資本が必要なのです」

アポロ3500GT（1963年〜1965年）のスペック

価格：新車時　7105ドル（76万円）／現在　50万ドル（5400万円／コンバーチブル）
生産台数：88台（クーペ　79台／コンバーチブル　9台）
全長：4478mm
全幅：1651mm
全高：1245mm
最高速度：209km/h
0-96km/h加速：8.4秒
燃費：6.0−7.7km/L
CO2排出量：−
乾燥重量：1127kg
パワートレイン：V8型8気筒3524cc
使用燃料：ガソリン
最高出力：202ps/5000rpm
最大トルク：33.1kg-m/3200rpm
ギアボックス：4速マニュアル

画像　アポロ3500GT コンバーチブル　全22枚