【欧州でも通用するEV】ニオES6プレミア・エディション 中国の新ブランド
公開 : 2020.01.20 10:20
スポーティな仕上がりを得た、純EVの中国製コンパクトSUVがニオES6。欧州での販売も数年後に計画されていますが、今後の厳しい競争の中で勝ち抜こくことはできるのでしょうか。中国に完成した新サーキットで評価しました。
高性能版は218ps+326ps
ニオES6は中国の新興電気自動車メーカー、ニオ社の2作目となる純EV。ひと回り大きいクロスオーバーのニオES8と基本的なアーキテクチャを共有するが、ES6は小柄で低く、スポーティ。価格も安めに設定される。
中国には、われわれも知らないような新興電気自動車メーカーが沢山存在している。その中でもニオ社はEVの実販売台数でトップに立つメーカーだ。2019年に発売した同社初めてのモデル、ES8は既に1万5000台以上を顧客へ届けている。
今回のES6を追加する目的は、販売台数を大幅に伸ばすこと。最終的には中国以外の市場での販売も計画されている。
ES6に搭載されるパワートレインは2種類。どちらを選んでも4輪駆動で、標準モデルには218psの永久磁石モーターが前後に1基づつ搭載される。
試乗車となったプレミア・エディションと、追って登場する高性能版に搭載されるのは、フロント側は同じ218psの永久磁石モーターだが、リア側は326psの誘導モーター。低速域での効率性に優れる永久磁石モーターをフロントに残すことで、高性能バージョンでも航続距離を伸ばす狙いがあるのだろう。
新基準のWLTCモードと比較して甘い数字の出るNEDCモードでの数字ではあるものの、高性能版のES6の航続距離は、標準の70kWhのバッテリーで429kmとうたわれている。スタンダード版では420kmだ。
大容量の84kWhバッテリーパックを選べば、スタンダード版の489kmに対し、高性能版は510kmも走れるという。ニオによれば、だが。
印象的に良いパワートレインの仕上がり
ES6の0-100km/h加速に要する時間は、高性能版のプレミア・エディションで4.7秒。テスラ・モデルXやジャガーIペイスに並ぶ、4秒台チームに入る。最高速度は199km/hでリミッター制御される。
骨格にはアルミニウム製のストラクチャが用いられ、ボディ剛性はとても屈強。ねじり剛性で4万4930Nm/degに達するという。ちなみにロータスのアルミニウム製タブのねじり剛性は2万7000Nm/degある。
サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式。アダプティブダンパーが標準装備され、プレミア・エディションと高性能モデルにはエアスプリングも採用する。
シャシーとパワートレインの開発は、ニオが有するヨーロッパとアメリカの拠点で進められている。英国にもオックスフォード近郊にオフィスがある。
パワートレインの仕上がりは印象的に良い。ES6はより高価なES8と比べればパワーで劣るとはいえ、プレミア・エディションはテスラ並みの加速性能を保つ。苦労知らずに、驚くほどのスタートダッシュを披露する。
ES6の試乗は、天津近郊にオープンしたV1オートワールドと呼ばれるサーキットで行われた。一般道ではない、クローズドコースという設定は中国では一般的。試乗時間は30分ほどあり、縛りもゆるく、コース内を自由に運転することはできた。
サーキットはSUVと特に親和性の高い環境ではないが、ES6は内臓が横に押しつぶされそうになるほどの横Gをコーナーで発生。加速力も、速度が上がるにつれて強くなっていく印象だった。