【殺人チャイルドシート】アマゾンが購入者に全額返金 廃棄を指示 何が危険なのか?

公開 : 2020.01.17 22:03  更新 : 2021.06.17 22:05

「殺人チャイルドシート」という言葉を使うのは、英「サリー州議会の消費者保護テスト機関」です。中国製のチャイルドシートのことで、日本の安全基準にもマッチしていません。アマゾンも返金&警告に動きました。

安全性未認証の中国製チャイルドシート 日本では流通できないはずの商品

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

筆者が2015年に取材用としてアマゾンで購入した中国製チャイルドシートに関して、本日(1月17日)16時半頃、アマゾンから「[重要]過去にご注文された商品についてのお知らせ」と題したメールが届いた。

「過去に販売事業者が出品し、お客様がご注文された下記商品について、必要となる基準(ECE基準)を満たしておらず安全性に懸念があるため、ご購入時の商品代金等の全額をアマゾンギフト券にて返金させていただきました」

本日(1月17日)16時半頃、アマゾンは中国製未認証チャイルドシートについて、購入時の商品代金等の全額をアマゾンギフト券にて返金。返品を促すメッセージを購入者へ送った。
本日(1月17日)16時半頃、アマゾンは中国製未認証チャイルドシートについて、購入時の商品代金等の全額をアマゾンギフト券にて返金。返品を促すメッセージを購入者へ送った。

という一文から始まるもので、要するに、筆者が購入したチャイルドシートは安全基準を満たしておらず危険性が懸念されるので返金した。ということである。

今、確認してみたところ、本当に1月17日付で3299円がギフト券として入っていた。

今回、購入代金が全額返金されたチャイルドシートは写真のピンク色のもの。そして、その横の「ネイビーボーダー」は、2017年にリコール&返金の案内があった。

リコールの理由は今回と同様だが、その時は今回のように、アマゾンから直接ギフトカードで返金されるのではなく、出品者にメッセージを送り、返答がなければアマゾンが対応するという方法だった。

返送方法は「注文番号」と「返品理由:リコール商品のため」を記載したメモを、商品と同梱し、市川市のアマゾン返品係に返送するという方法だ。

ちなみに筆者はその時は返品しておらず、現在も2商品ともに手元に残っている。

英国でも「殺人チャイルドシート」として州の検査機関が危険性を指摘

実はこれらの未認証シートが販売されているのは、日本だけではない。英国でもかつて、アマゾン、イーベイなどの大手ECサイトにおいて、1000円以下の安価な値段で販売されていた。

しかし、「Sully Trading Standard:サリー州議会の消費者保護テスト機関」にて約50km/hで布製チャイルドシートのテストを行った結果、シートを固定するストラップは破断し、3歳の子どもを想定した衝突試験用ダミーはフロントガラスに投げ込まれた。

国土交通省も未認証チャイルドシートに関するテストをおこなっている。写真は未認証シートを使用し、子どもが前方に大きく飛び出した際のもの。 出典:国土交通省
国土交通省も未認証チャイルドシートに関するテストをおこなっている。写真は未認証シートを使用し、子どもが前方に大きく飛び出した際のもの。 出典:国土交通省

まさに「killer carseat」(殺人チャイルドシート)である。

テスト結果を踏まえて、アマゾンやイーベイでは該当の布製チャイルドシートの販売を中止している。

日本においても国交省が2017年6月に以下の警告を行っている。

「国土交通省ではインターネット通販において、国の安全基準に適合している事を示すマークが表示されていないチャイルドシート(未認証チャイルドシート)が販売されている事を受け、実際に販売されている7製品を購入して、検証を行ったところ、国の安全基準に適合していないことを確認しました」

「お子さまを安全に乗車させるため、自動車ユーザーに対してチャイルドシート重要性や安全を脅かす未認証チャイルドシートの危険性を啓発するため、啓発ビデオを公開しました」

アマゾンが2017年に最初のリコールを行った際は、国土交通省からの指導を受けて実施したものと思われる。

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