【落札率63.6%の好結果】BH初の試みを分析 スーパーGTオークション 東京オートサロン

公開 : 2020.01.20 05:50  更新 : 2021.10.11 09:29

ストラトス 大健闘

935 K3/80とともに注目を集めていたのがランチア・ストラトス・ストラダーレ・グループ4コンバージョン仕様だった。

ストラダーレはオークションでそれなりに出てくるが、グループ4仕様となると世界的に見てもほとんど姿を見せないことから高額落札が予想された。

1975年 ランチア・ストラトス・ストラダーレ・グループ4 コンバージョン 7881万円
1975年 ランチア・ストラトス・ストラダーレ・グループ4 コンバージョン 7881万円

このストラトスはストラダーレ(ロードカー)として製作されたものを、後年イタリアのスペシャリストがグループ4仕様にコンバートしたもので、完成度は極めて高い。

その後ボディの手直しの際に現在のアリタリア・カラーにされたという。

前々オーナー時代にヒストリックカー・ラリーに参戦していたことからFIAのHTPペーパー(認定証)が備わることに加え、ランチア社の製造証明書も付いていることから7881万円まで値を上げて決着がついた。

ハコスカGT-Rレーシング 3219万円

今回唯一の国産旧車レーシング・マシンとして出品されたのが1972年日産スカイライン2000GT-Rだ。

このハコスカGT-Rレーシングは当時東京の大森にあった日産スポーツコーナーが用意したレース用ホワイト・ボディから製作された由緒ある1台。

1972年 日産スカイライン 2000 GT-R KPGC10レーシング 3219万円
1972年 日産スカイライン 2000 GT-R KPGC10レーシング 3219万円

GT-Rサービス・ワタナベを主宰するGT-Rの神様と称えられた渡辺茂氏が新車から所有していたワンオーナーカーなのである。

現存するGT-Rレーシング・バージョンはロードカーから改造されたものがほとんどである。

当初からレース用に作られた貴重な1台だけに、GT-Rファンにとっては究極の1台といえる存在。熱い入札が続き、最終的に3219万円で新たなオーナーの元へ嫁ぐことになった。

BMW Z4GT3 驚きの額で

大いに盛り上がったスーパーGTオークションだが、意外な額で落札されたのがTWS LMコルサが2014年シーズンを闘ったBMW Z4GT3だ。

ファクトリー・ビルドのGT3マシンで、第6戦の鈴鹿1000kmでGT300クラス優勝を飾ったそのものである。

BMW Z4GT3は2014年の鈴鹿1000kmでGT300クラスの優勝を飾った時のドライバーである吉本大樹選手が運転して登場
BMW Z4GT3は2014年の鈴鹿1000kmでGT300クラスの優勝を飾った時のドライバーである吉本大樹選手が運転して登場

オークションにはマーキングが全てはがされカーボン地むきだしのワイルドな姿で出品された。

会場には当時このマシンで参戦していた吉本大樹選手が運転してステージに登場。「お金があれば僕が買いたいくらいに、優勝の想い出が詰まったマシンです」と本心を語った。

完成度が高くNAで乗りやすくメンテナンスも楽なこともあり、アマチュア・ドライバーがサーキット走行を楽しむには最適な1台といえる。注目度に加え、最低落札額の設定が無かったことから724.5万円という破格ともいえる安さで終えてしまった。

レーシング・マシンという特殊なクルマのオークションということからその結果が心配されたBHスーパーGTオークション。しかし、終えてみれば落札率は63.6%と好調だった。

これは日本のクルマ趣味の層が厚くなってきたことを物語るもので、今後のスーパーGTオークションに注目していきたい。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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