【AIも活用】次世代アイサイト 交差点でも「ぶつからないクルマ」めざす 2020年代前半の導入

公開 : 2020.01.21 17:20  更新 : 2021.10.09 23:55

次世代アイサイトが市場導入されるのは、2020年代前半。交差点/市街地事故対応や、操作ミスとドライバー状態への対応の強化を目標としています。運転支援は、あくまでもレベル2まで。AI活用も視野に。

スバル 次世代に向けた新情報が満載

text:Kenji Momota(桃田健史)

スバルの次世代アイサイト(バージョン4)の詳細が、スバル技術ミーティング(2020年1月20日:東京都恵比寿)のなかで明らかになった。

次世代アイサイトが市場導入されるのは、2020年代前半。

スバルのEVプロトタイプ
スバルのEVプロトタイプ

「事故回避・運転支援技術を徹底的に磨きをかける」(スバルの大抜哲雄専務)と、アイサイトの技術革新に対する自信を見せた。

事故回避については、進化する分野は大きく2つある。

1つは、交差点/市街地事故対応の強化だ。

交差点では、
・左折時の巻き込み
・右折時での直進車への対応
・出会い頭
といった状況を想定する。

市街地では、白線内を通行する歩行者や自転車に対してハンドル操作で回避する。

なかでも「日本では事故事例が多い、出会い頭事故を意識」(大抜専務)という。

技術的には、これまでのステレオカメラの他、クルマの全周囲に対するセンサーを装着して対応する。

もう1つが、操作ミスとドライバー状態への対応の強化だ。

例えば、運転中にドライバーが意識を喪失した場合の対応。運転中の脇見に対する警告。白線がない道路でも路肩を検出してハンドル操作によって車線逸脱の回避。

そして、高齢者を含めて事故が絶えない、アクセルとブレーキを踏み間違いに対して、誤発進や暴走を抑制する機能を強化する。

技術的には、ステレオカメラ、全周囲センサーに加えて、すでに導入している車内でのドライバーモニタリングシステム(DMS)を強化する。

運転支援、あくまでもレベル2 全モデルに

運転支援機能については、大きく3つの領域で進化する。

1つは、高速道路での車線変更支援だ。となりの車線を走行するクルマの位置をステレオカメラと全周囲センサーで検知。

市街地では、白線内を通行する歩行者や自転車に対してハンドル操作で回避する。  なかでも「日本では事故事例が多い、出会い頭事故を意識」(大抜専務)という。
市街地では、白線内を通行する歩行者や自転車に対してハンドル操作で回避する。 なかでも「日本では事故事例が多い、出会い頭事故を意識」(大抜専務)という。

さらに、自車位置は、デジタル地図との連携を行うことで、自動で車線を変更することが可能となる。

こうした技術は、日産のプロパイロット2.0、テスラのオートパイロット、さらに欧州プレミアムブランドなどがすでに量産しているが、スバルとしては「高速道路をより快適に、安全に移動する最新機能を、上位モデルだけではなくスバルユーザーすべてに提供する」(大抜専務)という企業姿勢を貫く。

そのうえで「あくまでもレベル2であり、レベル3としての想定ではない」と強調する。

自動運転レベルは1から5まである。その中で、レベル2とレベル3の間に技術的、また倫理的に大きなギャップがある。

レベル2までは運転の主体はドライバー。

一方、レベル3以上はクルマのシステムが運転の主体となる。

レベル3では、クルマのシステムが自動運転を継続できないと判断すると、ドライバーに運転のリクエストを行う。

スバルとしては、アイサイトはあくまでも、ドライバーが運転を愉しむための運転支援であることを強調する。

開発ロードマップによると、事実上のレベル3となる道路インフラなどと強調する「運転支援技術のさらなる進化」は2025年以降としている。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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