【すべてが期待を凌駕】アストン マーティンDBXプロトタイプ 英国での評価
公開 : 2020.01.23 14:40
4ドアGTのラピード以上に速く機敏
SUVとしては低めの着座位置と、角度の付いたフロントガラスの割に、スカットルの位置が低く前方視界は良好。フロントタイヤ上のボディの先に左右の前端が見えるから、ボディサイズもつかみやすい。実際以上に大きく感じることはないだろう。
ドライビングモードで、最もゆったりと快適なGTモードを選ぶ。アストン マーティンが生んだ4ドアGT、好印象なラピードSにも似た乗り心地とハンドリングが味わえる。
22インチのホイールを履いていても、とても快適で車外との隔離間に優れている。ラピードと違う体験なのが、クルマに及ぶすべての変化が、路面よりも高い位置で感じ取れること。
ボディがひと回り膨らみ、車高が高くなったのにも関わらず、スポーツやスポーツ+モードを選択すると、ラピードよりも引き締まり、速く機敏に走ることは間違いなさそうだ。エアサスはボディを下げ、姿勢制御や反応の鋭さを高め、スポーティさを全身で体現してくれる。
エンジンは全域に渡ってフレキシブル。0-100km/h加速4.5秒をうたうDBXだが、ランボルギーニ・ウルスのような荒々しさや騒々しさはない。
アストン マーティンはDBXで、4ドアモデルの完成度と走行性能を大きく向上させた。見た目の印象を反故にするパフォーマンスや一体感、ハンドリングと、優れた快適性とキャビン空間のゆとりを兼備している。完成したDBXと、開発チームを高く称賛せずにはいられない。
考え抜かれて誕生したスーパーSUV
乗り心地は、スポーツ+モード以外なら、すべてで柔らかく滑らか。酷い路面状態や鋭い起伏のある部分では一撃が届くが、それ以外の場面では、車内へ伝わる振動はわずかだ。
ステアリングフィールは自然。理想的な重み付けを得ており、常にリニアに操れる。操縦性すべてが直感的で、狙った通りにクルマを進めていける。バランスにも優れ、落ち着きがあり不安感を抱くことはない。
クラスをリードするハンドリングバランスと旋回性能を目指していたDBX。加速力や乗り心地も、ベストと呼べる水準を狙っていた。おそらく、その目標は達成している。大きなSUVボディを持つDBXながら、驚くほどのまとまりを得ている。
そして、オフロードコースでは、DBXがより楽しいこともわかった。それは改めて。最近人気のラリークロス風の砂利が惹かれた英国ウォルターズ・アリーナのコースでは、その面白さが光っていた。
プロトタイプ段階ではあるものの、アストン マーティンDBXの第一印象は秀逸。ひと回り小さく感じさせるデザインは、見た目の訴求力も高い。甘美なドライビング体験は、想像よりも少しだけマイルドだった。
慎重にデザインやポジショニングの検討を重ねた結果として生まれた、スーパーSUVがアストン マーティンDBX。敢えての、わずかなアストン マーティンらしい英国車的歩み寄りがミソだ。
なんという素晴らしい仕上がりなのだろうか。英国での発売は2020年4月が予定されている。
アストン マーティンDBXプロトタイプのスペック
価格:15万8000ポンド(2243万円)
全長:5039mm
全幅:1998mm
全高:1680mm
最高速度:291km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:6.9km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:2245kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:549ps/6500rpm
最大トルク:71.2kg-m/2200-5000rpm
ギアボックス:9速オートマティック