【オフロードも想定以上】アストン マーティンDBXプロトタイプ 英国での評価
公開 : 2020.01.23 16:50
オフロードでも快適な乗り心地を維持
より積極的なスポーツ・モードやスポーツプラス・モードを選ぶと、DBXの進路変更はより機敏になり、スタビリティ・コントロールが介入するしきい値は上がる。マット・ベッカーの提案でスタビリティ制御をオフにしても、砂利道では安定しており、スリップアングルも調整できるくらいだ。
ただし、メルセデス-AMG製のV8エンジンは、強大な最大トルクが突然沸き立ってしまう。丁寧なスロットル操作は不可欠だった。
砂利道での高速ドリフトも楽しい体験だったが、サスペンションの仕上がりも素晴らしい。高速で大きな凸凹に対応する能力は、ほとんどのクルマでは届かないレベルにある。その快適性は、サポート車両としてついたトヨタ・ランドクルーザーの激しく揺れる車内と比べれば顕著。
アストン マーティンDBXは、大きなサスペンションストロークと余裕のあるエアスプリングが組み合わさって、荒れた路面を驚くほど平滑になだめてくれる。ドライバーは、揺れに備える必要がないほど。
電圧48Vで制御されるアクティブ・アンチロールバーも、基本的には舗装路で発揮される機能。プロトタイプでエラーが生じ、システムをオフになってしまった時があり、ロール角の違いに驚いた。滑らかなスピードボートから、小さな貨物船に変えてしまった。
クルマを止めてエンジンを再始動させると再び機能し、スピードボートに戻ってくれたけれど。
開発チーム想定以上の悪路性能
オフロードでのエアサスペンションの有用な機能として、車高が調整できることもある。今回の試乗では本格的な岩場にはチャレンジしなかったものの、テレイン・プラスで最大45mmまで標準状態からボディを持ち上げられる。ボディ底面をこすりそうな荒れた岩場では、安心感が違ってくるだろう。
マット・ベッカーによれば、開発チームが想定していた以上に、DBXの悪路での走破性を高く仕立てられたという。「アウディ・オールロードを目指していたら、ポルシェ・カイエンができたようなものです」
高次元のオフロード性能は、DBXが本来目指したところではないようだ。そもそも、舗装路から大きく離れた場所を走ろうというオーナーはほとんどいないはず。
だが、オーナーが期待するであろう飛び抜けた走破性は、しっかり隠し持っている。アストン マーティンDBXが道路以外の、遥かに広い地上のエリアに対応できることは疑いようがない。
アストン マーティンDBXプロトタイプのスペック
価格:15万8000ポンド(2243万円)
全長:5039mm
全幅:1998mm
全高:1680mm
最高速度:291km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:6.9km/L
CO2排出量:−
乾燥重量:2245kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:549ps/6500rpm
最大トルク:71.2kg-m/2200-5000rpm
ギアボックス:9速オートマティック