【320km/h超えに挑戦】マクラーレン720S(4) マクラーレンF1と競争 長期テスト
公開 : 2020.01.26 11:50
極めて優れたコーナリング性能を備えたマクラーレン720S。世界でも最も優れたドライビングマシンの1台で有ることには間違いありません。そんなスーパーカーと毎日を満足して過ごすことはできるのか、長期テストで確認します。
もくじ
ー積算 6052km サマータイヤに交換
ー積算 6347km 汚れが溜まるリアスポイラー
ー積算 8067km 高圧洗浄機での洗車が楽しい
ー積算 8941km F1の339km/hに挑戦
ー超高速域からでも安定のブレーキング
ードラッグの大きさが影響した最高速度
ーテストデータ
積算 6052km サマータイヤに交換
長期テストのマクラーレン720Sを、少々気が早いがサマータイヤに戻すことになった。走行ペースも良好な乗り心地も変わらないけれど。 現状の720Sも気に入っているが、何かアップグレードしたいと考えている。
積算 6347km 汚れが溜まるリアスポイラー
720Sのリアスポイラーには窪みがあり、そこに汚れが溜まりやすい。外気温が氷点下のときには、フリスビーのような大きな氷ができあがる。空力的に狙っていたことではないと思うけれど。
クルマにしばらく乗らないでいると、その窪みに色々な汚れも溜まってしまう。些細なことだが気になる、デザイン上の必然から生まれた短所ともいえる。
積算 8067km 高圧洗浄機での洗車が楽しい
ほかのクルマでは感じたことがなかったが、マクラーレン720Sを高圧洗浄機で洗う作業が楽しい。ボディに沿ってスポンジを当てると、複雑なデザインであることに改めて気付かされる。
高圧ジェットで水をボディに当てて、どのような水流が生まれるのか観察するのも楽しい。まるで自分が風洞実験をしているように錯覚できる。 エアロダイナミクスを優先させた美しいボディならではだ。
積算 8941km F1の339km/hに挑戦
25年前、筆者はマクラーレンF1に乗り、滑走路を全開で走らせた。ブランティングソープ飛行場をどれだけ短時間で駆け抜けることができるのか。自分の意識が遠くなるような気がしたが、無事にこなせた。
その時に到達した速度は339km/h。可動式の空力装備はまだ完全には機能していないプロトタイプで、アクセルペダルから足を離した時の感覚は、とても興味深いものだった。下手な修正や急ブレーキを掛けることなく、通常の速度域に戻す方法を自ら考えて、実行しなければならなかった。
このテスト走行は、1950年代の爆撃機用に用意された滑走路全面を使用した。そして今回、当時と同じマクラーレンF1のプロトタイプと、長期テスト車両の720Sを走らせることになった。肩を並べるだけのパフォーマンスを備えた、現代のクルマの方が、時代分だけ進化していることを実感した。
ただし、前回とはまったく同じ条件ではない。使用した滑走路は同じだが、走行ルートが異なり、滑走路への侵入速度は25年前より遥かに遅い。
最高出力はマクラーレンF1が636psなのに対し、マクラーレン720Sは720ps。車重は720Sの方が重いが、最高速度への影響はそれほど大きくはない。だが最高速度に到達させるまでの時間には大きな影響がある。
エアロダイナミクスも関係する。720Sの方がボディが大きい分、前面面積が大きい。ダウンフォースも大きいから、必然的に抵抗値、ドラッグも大きくなる。しかも当時と異なりわたしは25歳も年齢を重ねた。最後まで集中力は維持できるだろうか。