【320km/h超えに挑戦】マクラーレン720S(4) マクラーレンF1と競争 長期テスト
公開 : 2020.01.26 11:50
超高速域からでも安定のブレーキング
321km/h (200mph)の企画を実現するには、ドライバーの隣に座ってくれるカメラマンを見つける必要もある。猛烈なスピードの中で平穏を保ち、写真を撮影してもらわなくてはいけない。
25年前、とあるカメラマンは乗車を拒否した。幸いなことに、今回お願いしたリュク・レーシーは一切不安がることもなかった。この企画にかなり興奮して賛同してくれたし、見事に冷静に仕事をこなしてくれた。
マクラーレン720Sをスタートさせ、可能な限りハイスピードを保って滑走路に入る。スピードメーターの数字を横目にクルマを加速させる。滑走路の前半は緩い上り坂で、初めは予想より加速は遅めだった。下りに変わる付近で290km/hに到達すると、そこからさらに加速していく。
しばらく走って、正確に計測できるスピードメーターで313.8km/hに届いた。さらに318.6km/hへと数字を伸ばすさなか、この720Sで321km/hにタッチする意味を少し考えてしまった。
マクラーレン720Sはとても快適にスピードを乗せていき、320km/hでブレーキを踏んでも良いかとも思ったが、結局200mphという数字がスピードメーターに表示されるのを見て、更にもう少し加速を続けた。
マクラーレンF1の時とは異なり、321km/h以上の速度からのブレーキングは、160km/h位からのブレーキングとさほど変わらないものだった。クルマはぐらつくこともなく、速度を勢いよく殺していく。
ドラッグの大きさが影響した最高速度
写真は取れた?とカメラマンに尋ねる。リュク・レーシーは、少し残念そうにスピードメーターの数字を撮影した画像を見せてくれた。数字は201mph(323.4km/h)を表示している。
できる限りのことをしたが、同じ距離でクラーレンF1が達成した339km/hに720Sは届かなかった。その理由は、ドラッグの大きさにあると思う。720Sの方が84psも最高出力が高いのに、720Sの公称最高速度は341km/h。一方でマクラーレンF1は386km/hなのだ。
当時にそれは、マクラーレン720Sが高速走行時にも極めて安定しており、コーナリングが速い理由の1つでもある。年間を通じても現実味のない、最高速度を出せる力を秘めているだけが、スーパーカーの取り柄ではないといえるだろう。
テストデータ
テスト車について
モデル名:マクラーレン720S ラグジュアリー(英国仕様)
新車価格:22万4990ポンド(3149万円)
テスト車の価格:24万6450ポンド(3452万円)
テストの記録
燃費:9.2km/L
故障:コーナーを曲がる途中でヘッドライトが消えた
出費:なし
気に入っているトコロ
姿勢制御:高速域に達しても、揺るぎなく姿勢を常に保ってくれる。もし充分な直線さえあれば、320km/hのスピードにタッチすることもさほど難しくはない。
気に入らないトコロ
電動シートの調整:操作部が目に見えず、感覚的にもわかりにくい。今でも意図とは違う動きをさせてしまうことがある。