【ワンオーナー】米製スーパーカー「ヴェクターW8」に7956万円 RMサザビーズ・オークション
公開 : 2020.01.24 05:50 更新 : 2021.10.11 09:28
内装は? まるで飛行機
インストゥルメント・パネルは未来的なデサインで仕立てられていた。
ちょうどデジタル表示時代の始まりの時期だったこともあり、数多くのゲージに加えデジタル表示のエアコン温度調節、航空機用コンパスおよびホッブス・アワーメーター 、強調されたデジタル・ディスプレイにより飛行機のコックピットを思わせるものに。
このほかシートはレカロ・クラシックが組み込まれ、オーディオはソニー製のヘッドユニットでカセットと10連装CDを装備とする。スピーカーはアメリカのこだわりのメーカーだったエーディーエス(a/d/s)で構築され、最高のサウンドが提供された。
こうして誕生したヴェクターW8は最高速度242mph(389kmh)、0-400m加速12.0秒、0-96km/h加速は4.2秒と、トップクラスのパフォーマンスを発揮した。
最終的な生産台数はプロトタイプと17台のカスタマカーのみとなる(19台の説もある)。
アメリカ製のスーパーカーとして登場したヴェクターW8だったが、発売に際しての手直しなどが続きすべて手作業で製作されたこともあり、デリバリーが始まるのは1990年になってからだった。
ワンオーナー、走行3651km
RMサザビーズ・アリゾナ・オークションに出品されたシリアルナンバー:009のヴェクターW8は、1989年に17万8000ドルで注文された個体である。
当初は次の年に完成する予定だったことから、VINナンバーはMSOに従って1990年製として割り当てられた。しかし生産が遅れてしまい、1991年モデルとしてVINナンバーが改めて与えられる。
ちなみに変更されたのはVINナンバーの10桁目の製造年を示す数字だった。
こうして1年遅れで誕生したヴェクターW8ツインターボは、デリバリー以来ファースト・オーナーの元で暮らし、出品時の走行は僅か2268マイル(3651km)に過ぎなかった。
書類・備品も存在
車両は取り外し可能なムーンルーフを備え、トップ収納用の希少なケースも備わる。
ツールキットが付属するのはもちろん、購入時の契約書類からカタログなどのドキュメントがすべて残されおり、その中にはヴェクター・エアロモーティブ社を紹介するVHSテープまで含まれているから驚きだ。
アメリカのクルマ好きにとって自国が誇るスーパーカーであり、今やおいそれと手にすることのできない幻の存在といえる。
出品されたヴェクターW8は完璧なコンディションで、この機会を逃すと次はいつ出てくるか分からないこともあり、最終的に7956万円で落札された。