【アウディの前身アウトウニオン】DKWを中心に130台がリ・ユニオン 後編

公開 : 2020.02.02 16:50  更新 : 2020.12.08 10:55

アウディの前身となるアウトウニオンのDKW製モデルが一堂に会する、アウトウニオン・インターナショナル。第46回を数える、欧州では人気イベントです。英国で開催された2019年大会の様子を、参加車両とともにご紹介しましょう。

インターナショナル・アウトウニオンの参加車両

text:Martin Buckley(マーティン・バックリー)
photo:John Bradshaw(ジョン・ブラッドショー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
前編に続いて、英国で開催された第46回インターナショナル・アウトウニオン・ラリーの参加車両を、オーナーのコメントとともに見ていきたい。

クラシックカーに詳しい英国編集部スタッフですら、ほとんど目にしたことがないという珍しいクルマも含まれている。

DKW/アウトウニオン1000S(1958年)

オーナー:ダン・コデシュ

ダン・コデシュはロンドンの北東、スタンステッドから、テレビの司会者や自動車ライターを仕事とする友人のジェイソン・バーロウとともに参加した。

彼のクルマはアウトウニオン1000Sで、高圧縮比エンジンを持つ50ps仕様。大きくカーブを描くボディが特徴的だ。

DKW/アウトウニオン1000S(1958年)
DKW/アウトウニオン1000S(1958年)

コラムシフトに問題を抱えており、会場のスペアパーツ売り場でプラスティック製のブッシュを探したという。変速の問題が治ることを期待したい。

「小さなフィアットやマイクロカーを集めています。このDKWも。技術的には、このクルマも(排気量が)1.0Lに収まっています。今探せる、最も大きなマイクロカーといえるでしょう」 とコデシュが話す。

「どれも素晴らしいクルマです。このDKWもコレクションに並んでいる1台。乗る機会は少なく、8年間で500kmも走っていません。今回の参加は冒険のようなものでした」

「なかなか大変な旅でした。丘を登る場面では非力で進まず、友人にクルマから降りるようにお願いするほど。この会場に集っているクルマと比べると、1000Sはとても小さいですね」

「このオリジナルは英国製のクルマで、1958年に後期型のボディが乗せられています。しばらく興味が薄れていたのですが、ある時から魅力に気づいて、1000Sへもう一度恋に落ちました。今回の旅で、コレクションを見直す良いきっかけになりそうです」

DKW F12ロードスター(1964年)

オーナー:トミー・ワイス/ドリス・ワイス

後にF11とF12へと発展したDKWジュニアは、1959年に誕生。より安価で小さいボディに1.0Lエンジンを搭載したモデルだ。ボクシーでモダンなデザインの2ドアには、741ccから889ccまでの2ストローク3気筒エンジンが載っていた。

ドイツ市民が煙臭い2ストローク・エンジンから距離を置き始める1965年までの間に、約30万台が製造されている。

DKW F12ロードスター(1964年)
DKW F12ロードスター(1964年)

F11とF12には、当時としては珍しくフロントにディスクブレーキを搭載。フル・シンクロメッシュのトランスミッションが採用され、セミ・オートマティックもオプションで選べるなど、先進的な技術に注目が集まった。

その中でも後期型のF12コンバーチブルは最も珍しい。エンジンは43psを発揮し、最高速度は136km/hに届く。

「ソフトトップを開けて走るのが好きです。コラムシフトの変速も楽しいですよ」 と話すトミー・ワイスは、選りすぐりのスペアパーツを折りたたみテーブルに並べている。

彼の父、ウィリー・ワイスは、ドイツ・シュツットガルトでDKWの専門店を営んでいる。「父は毎日DKWに携わっていますが、今日は来れませんでした。わたしが一番好きなDKWは(オフロードモデルの)ムンガです。自宅でも1台乗っています」

「このクルマもかなり珍しいですよね。1600kmほどを走りましたが、不具合はありませんでした」

助手席に座っている、不機嫌そうな女性のことを聞いてみた。「彼女はわたしの妹。古いクルマにはまったく興味がないんですよ」

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