【アウディの前身アウトウニオン】DKWを中心に130台がリ・ユニオン 後編
公開 : 2020.02.02 16:50 更新 : 2020.12.08 10:55
DKWムンガ4(1963年)
オーナー:ジョン・ギャラガー
この短いフロントノーズが特徴の、4輪駆動モデルは、アウトウニオンの中でも成功を収めたオフローダー。12年間のモデルライフの中で、5万台近くが製造された。
ドイツでは国境警察に重宝がられ、NATO(北大西洋条約機構)軍やオランダ軍でも活躍している。このムンガ4も、そのどこかで運用されていたクルマだ。
「このムンガは、スコットランドで手に入れました。電装系が電圧24Vシステムになっている、2ストロークエンジンを搭載しています。特にオフロードタイヤを履いていると、運転は簡単ではありません」 と北アイルランドから参加したオーナーのジョン・ギャラガーが話す。
「フロントガラスは倒すことができます。ワイパーのモーターが2つ付いているので、左右別々にワイパーを使うことができるんです。トランスミッションは4速で、ハイとローの2つのレシオのほかに、(悪路用の超低速)クローラーギアも付いています」
「もし電動の燃料ポンプが壊れても、手動のポンプでエンジンへ送れます。シャベルも積んでいますし、シャシーの下側には保護用の鉄板も付いています」
「このクルマには、プラスティック製の窓の付いた、カンバス製のドアが付いていません。さすがにドアのない状態で560kmの走行は厳しいので、トレーラーに積んで持ってきました」
DKW F8 マイスタークラッセ・ルクス・カブリオレ(1939年)
オーナー:アルフレッド・アルビエツ
戦前のDKWマイスタークラッセはすべてが2気筒だった。2ストロークエンジンで前輪駆動という、DKW製モデルの雛形を生み出したクルマでもある。
ドイツのコーチビルダー、バウア社によるこの美しいルクス・カブリオレは、小さなホルヒ製モデルにも見える。両社はアウトウニオン・グループに属していたメーカーだったから、不思議ではない。
「オーストリアからドイツのデュッセルドルフまでは、トレーラーに積んで持ってきました。しかしそこから英国までは妻とわたしで運転してきたんです」 と笑顔で話すオーナーのアルフレッド・アルビエツ。
このDKW F8 マイスタークラッセ・ルクスは1939年製。バウア社製のカブリオレボディを持つモデルは、527台しか製造されていない。
アウディのヘリテイジカー部門、アウディ・トラディションですら、今も現存を確認できているのは6台か7台のみだという。知られている限り英国には現存車両はなく、筆者はドイツでも2台しか見たことがないほど珍しい。
「このルクスを2年前に自分でレストアしました。2シーターで丸みを帯びたソフトトップが特徴です。エンジンは700ccの2気筒で、最高出力20ps。これでも、DKWのクルマでは大きなエンジンの方だったんです」