ロードテスト BMW 330d ★★★★★★★★★☆
公開 : 2020.01.25 11:50 更新 : 2020.01.26 05:59
結論 ★★★★★★★★★☆
この330dツーリングに、満点をつけたい誘惑には抗いがたい。6気筒パワートレインの洗練性とパフォーマンスは、このクルマをディーゼルのみごとなフラッグシップたらしめるものだ。
ハンドリングもまた、3シリーズのセダンモデルに限りなく近いほど楽しめる。それでいて、セグメント屈指の実用性を誇るワゴンだ。
経済性についてもまた、それほど無理をしなくても、15km/L近い平均燃費を叩き出す。しかもマテリアルの質感やエルゴノミクスに優れたキャビンが商品力を高めている。十分に成熟したマシンだ。
しかしながら、その優秀さを手にするには、それなりに出費も大きくなる。メーカーへの、CO2排出量に応じた課税が厳しさを増しているのもその一因だ。2012年当時の旧世代モデルに対し、1台あたりの税金相当額は実に2倍近くに増えているのである。
また、現行320dツーリングの図抜けた性能を考えると、さらなるプレミアムな価格を正当化できるかというのは難しい問題だ。
そのプライスを受け入れられるなら、この330dはやはり単純明快なクルマといえる。結局のところ、これはおそらくもっとも多才な3シリーズだ。つまり、このセグメントの現行モデルで、もっとも多才なクルマだと言い換えてもいい。
しかし、残念な要素もある。それは現状の税制が、これほどのクルマに対し不当に作用しているという点にほかならない。
担当テスターのアドバイス
サイモン・デイヴィス
このクラスのクルマにいつまで6気筒ディーゼルが用意されるかはわからないが、消滅する日が来たら悲しむことになるだろう。それだけすばらしいマシンだ。
リチャード・レーン
ツーリングの荷室には、X5と同様にゴム張りの滑り止めレールが装備された。荷物を積み降ろしする際にはフロアとツライチだが、ハッチを閉じると3mm持ち上がり、荷物が不用意にスライドするのを防止する。
オプション追加のアドバイス
2200ポンド(約30.8万円)のMスポーツ・プラスパッケージは、アダプティブダンパーのためだけにも選びたい。1900ポンド(約26.6万円)のテクノロジーパックも、金額に見合う価値がある。
改善してほしいポイント
・トランスミッションのコンフォートモードでのレスポンスを、もう少し上げてほしい。現状、キックダウンを嫌う傾向がやや強い。
・他車と同じくらい、Apple CarPlayがシームレスに機能してくれればいいのだが。せっかく標準装備されたのだから。