ロードテスト BMW 330d ★★★★★★★★★☆
公開 : 2020.01.25 11:50 更新 : 2020.01.26 05:59
走り ★★★★★★★★★☆
この330dで、BMWのB57ユニットはスポーティなパフォーマンスと現実的な実用性のすばらしいバランスを見せる。世間的な逆風に乗って、パワフルなディーゼルから離れたユーザーたちを嘆かせることが容易に想像できるほどだ。
寒く、路面の湿った1マイルストレートでのパフォーマンスは、その効力を知らしめるに足るもの。4WDシステムのxドライブと相まって、発進でのホイールスピンはほぼ抑え込みつつも、5.5秒で97km/hに、14.5秒で161km/hに達する。
テスト時のコンディションは、加速性能の計測において理想的とはいえない。しかも燃料が満タンだったことを踏まえれば、0-100km/hが5.5秒だという公称データは信用できると考えていいだろう。
エンジン回転が4000rpmを超えると、わずかに苦しげなところを見せるものの、ギア固定での運動性能とフレキシビリティにも同じく優れる。低回転から発揮されるトルクは、扱いやすい特性だ。
この330d、アウディS4 TDIほどの爆発的な勢いはないが、よりゆったりした力の高まりは、運転しやすさにつながる。そうはいっても、特に発進時に、スロットルペダルのレスポンスがもう少しいいとうれしいのだが。
エンジンの力強い低音の唸りは、ガソリンの6気筒や8気筒とはまったく異なる。BMWの4ドアモデルはもちろん、このクラスを見回してもそうだ。しかし、負荷をかけた際のサウンドは、独特の魅力を持っている。
音だけでなく、経済性も330dのアピールポイントだ。先述したガソリン多気筒セダンは速さでいささか勝るが、クルージングで14.9km/L、平均値で18.6km/Lという好燃費をマークするものはない。
ボルボのプラグインハイブリッドを積むS60 T8ツインエンジンなら、ポールスター・エンジニアードでもこれに迫る数値をマークする。それでも、ロードテストでのツーリング燃費は14.0km/Lだった。
しかしながら、そうした数多くの美点があるにしても、欠点がまったくないというわけではない。8速のギアボックスはおおむね、十分滑らかに変速する。だが、コンフォートモードでキックダウンしたがらないことがあり、多少のフラストレーションを覚える。
また、走り出す際にはいささか急につながるので、右足の踏み込みが激しいと、快適といえるレベルよりやや急発進気味になってしまう。