【現代版コブラ登場】ジャナレリー・デザイン-1 日産製V6+6速MT採用 499台限定

公開 : 2020.01.28 10:20

モーガンより洗練、TVRより一体感

座り心地は想像以上にとてもいい。いままで運転してきたどんなクルマより、フロントガラスが顔の近い位置に迫っている。視界は良好で、控え目に並ぶスイッチ類の位置も合理的。計器類は小さくて見にくい。

わたしの場合、充分な大きさのシンプルなメーターが不可欠だ。小さなアナログではなく、レトロな雰囲気を台無しにするかもしれないが、高精細のモニターを正面に置きたいところ。

ジャナレリー・デザイン-1(英国仕様)
ジャナレリー・デザイン-1(英国仕様)

運転席に座り、湿った道へゆっくりと進み出る。他のこの手のクルマなら、どんな印象なのか想像してみる。

乗り心地は硬い。これまで運転したどんなモーガンより、洗練度は遥かに高い。反応の瞬発性は、ケーターハム・セブンや、もちろんアリエル・アトムには及ばない。以前わたしが乗っていたTVRより一体感があるが、突出したロータスほど滑らかではない。

あれこれ引っ張り出していて思いついた。1990年代にケーターハム21というクルマがあったあが、その現代版があったのなら、こんな感じだったかもしれない。

しばらくして道路の前方が開けた。許された時間は短いから、あちこち流している余裕もない。

エンジンには特別な印象を持たなかった。ベースとしているのは北米や中国、中東などで販売されている、日産マキシマのものがベースだからだろう。

だがエグゾーストノートは威勢よく、軽量な車体にとても精密なマニュアルギアが付いていて、ドライビングフィールは最高だ。

目を覚ますのに丁度いい一撃

アクセルペダルを半分ぐらい踏んでいる限り、エンジンは静かだが、深く踏み込むと突然性格が変わる。1960年代のフェラーリ製V型12気筒エンジンを彷彿とさせる。

デザイン-1は威勢よく前へ進む。湿った路面でもトラクションが素晴らしい。リアサスペンションが柔らかく、ミドシップ・レイアウトであるためだろう。

ジャナレリー・デザイン-1(英国仕様)
ジャナレリー・デザイン-1(英国仕様)

湿った路面で短時間の試乗だったから、操縦性のすべてを確認することは難しかった。しかし、ステアリングやペダルの重み付け、アシストのないステアリングの精度の高さと感触の濃さ、しっかり効くブレーキは秀逸の仕上がり。

デザイナーが趣味で作ったスポーツカーではない。れっきとした、ちゃんとエンジニアリングが施されたドライビングマシンだ。

英国での価格、8万5000ポンド(1215万円)が正当かどうかは個人による。英国で売られる初めの5台は特別仕様で、カーボンファイバー製のユニオン・ジャックをあしらったエンジンカバーとサイドグリルが付き、11万5549ポンド(1652万円)となる。

少なくとも筆者が明言できることは、ジャナレリー・デザイン-1は見た目に相応しい走りを備えているということ。日常的に使いたいと思えるほどの実用性を備えた、速く、高価で、軽量なスポーツカーだ。

鎮静剤の効いた、個性の薄い、大きく膨らんだ高性能クロスオーバーやSUVに麻痺しそうな現代。ジャナレリー・デザイン-1は、そんなわれわれにとって、目を覚ますのに丁度いい一撃となりそうだ。

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