【運転を愛する人が求めるすべて】BBR GTi MX-5 スーパー220 224psのロードスター
公開 : 2020.01.31 10:20
同価格帯で他を圧倒するほどシャープ
どこかオールドスクールな雰囲気が漂うが、操作性に優れ居心地は良い。エンジンを始動する前、ストックのサイドサポートの低いシートが、BBR GTiの手にかかったパフォーマンスに充分なのか疑問を感じてしまった。
エンジンを目覚めさせれば、このMX-5(ロードスター)が素のクルマだとは誰も思わないはず。スーパー220キットのエンジン・チューニングに加えて、オリジナルのGTスペック・サイレンサーを装備しているから、排気音はアイドリング時からパンチが効いている。キリリと緊張感がありワクワクする。
スーパースポーツ・サイレンサーもラインナップされている。更にパワーアップが期待できるものの、エグゾースト・マニフォールドとのセットではBBR GTiとしても推奨していない。一般的なドライバーには少しうるさすぎるようだ。
エンジンが温まったら、このクルマに丁度いい道へ辿り着くまで、ポテンシャルに探りを入れてみる。初めに気づくのが、スロットルレスポンスの鋭さ。この価格帯では他を圧倒するほどシャープだ。
パワーはリニアに得られる。標準から300rpm上乗せされた、7800rpmのレッドゾーンまで力強さは増し続ける。スーパーカー級の回転域ではないにしろ、吹け上がりは最高。タッチの良い6速マニュアルの、1速から3速を何度も行き来させたくなる。
パワーウエイトレシオが改善したことで、圧倒されるほどではなくても、充分に速い。最大トルクの回転域が下がり、20.8kg-mから22.9kg-mへと増えているものの、高回転域まで回す必要はある。でも、とても楽しい。
エンジンを引き立てる絶妙なサスペンション
ターボ過給されるフォード・フィエスタSTより、加速感は遅く感じるかもしれない。念のため。加えてフォードは、頭で考えて運転するのに充分なスピードを持つが、速すぎないからコーナーでちゃんとメーターを目視できる。
このスーパー220キットを搭載したMX-5(ロードスター)もほぼ同じ。ダッシュ力が穏やかで、レッドゾーンまでしっかり回して変速する余裕があるぶん、さらに良い。
もともと素の2.0Lスカイアクティブ-Gも優れているが、スーパー220がインストールされたことで、パワーデリバリーの質感に磨きがかかった。ビンビンのレスポンスを味わえば、チューニングに投じた費用を悔いることはないだろう。
単体でメニューを選ぶなら、エンジンだけでなく、それに見合うサスペンションも欠かせない。少なくとも調整式のアンチロールバーは選んでおきたい。市街地での快適性は多少犠牲になるものの、郊外の道なら2速いっぱいまで回さずとも、その効果は体感できる。とても良く練られたチューニングだと思う。
BBT GTiのサスペンションで優れているのは、ボディロールを抑制しつつ、完全に排除していないところ。充分に挙動の先読みができる、コミュニケーション力が残されている。加えて姿勢制御の精度は高い。
特にリアタイヤの上下方向の動きが改善され、急な起伏を通過するときなどで有効。コーナーの途中でカント角が変化していたり、アウト側に窪みがあった場合などでも、上手に丸めてくれる。
もし真剣に攻め込んでも、幅215タイヤが生む程よいグリップ力と、コンパクトなボディサイズ、FRの優れたバランスが際立つだけ。クルマを信頼して操れるし、気難しいところもない。