【廉価版のSEを追加】フォルクスワーゲン・トゥアレグ VWブランドらしいSUV
公開 : 2020.02.01 10:20 更新 : 2020.02.01 16:33
体格のいいゴルフのように走る
このトゥアレグは比較的乗り心地が硬め。30km/hから50km/h程度では、ボディロールも大きめだし、少し落ち着きがなく感じられる。だが速度域が上がれば、ゆったりと走り始め、ずっと安楽度が増す。
標準サイズのサイドウォールの大きいタイヤなら、路面の凹凸やわだちもしっかり処理してくれるだろう。アウディQ7やボルボXC90など、エアスプリングを採用したモデルには及ばないけれど。価格差を考えれば、当然ではある。
高速道路での走りはとても快適で上質。気になる点といえば、ドアミラー周辺から発生する風切り音が、車内にわずかに響く程度。ロードノイズも車内に届き、路面の変化などが音で聞き分けられるが、長距離クルーザーとしての優れた実力を台無しにするほどではない。
郊外のカーブの続く道を、ハイペースで走らせるという考えを実行できなくはないが、実際に適しているわけでもない。軽くない車重を持つが、姿勢制御は熟考されている。
ステアリングを操れば、コーナーへ正確にクルマを進めていける。しっかりした操縦性は常に安定志向。挙動の予想も十分にできる感覚を伝えてくれる。
コーナリングスピードは高く、グリップ力も良好。実際に走らせてみると、とても体格のいいゴルフのようにすら感じられる。トゥアレグの美点だ。
搭載するエンジンはV型6気筒ディーゼルターボで、最高出力は231ps。実際の環境では不足のないパワー感があり、中回転域の十分なトルクを活かすことで、必要なだけの加速をちゃんと得られる。更にパワフルな286psのエンジンを選ぶ必要性はほぼ感じないだろう。
VWのイメージに良く合致するSE
ダイレクト感の薄いスロットル反応と、冴えない変速マナーを持つ8速ATには、改善を求めたいところ。特に追い越し時などでアクセルペダルを踏み込むと、少しの待ち時間の後に多めにシフトダウンをする場面がある。そのため、要求以上の急加速をしてしまう。
これは、従来から見られたフォルクスワーゲンの悪癖のようなもの。WLTPに適合された、アウディやセアトなどのモデルの方が、マナーは優れている。
ローエンドのトリムグレードといっても、4万5445ポンド(649万円)という英国価格は決して安くはない。ボルボXC90のベーシックグレードより8000ポンド(114万円)ほど安く、アウディQ7より1万1000ポンド(157万円)ほど安価でも、ライバルはエアサスペンションを含めて、標準装備が充実している。
だが、SEという控え目なグレードは、充分な訴求力を持っている。フォルクスワーゲンは、英国全体のトゥアレグのうち、10%程度がSEグレードになると予測している。だがフォルクスワーゲンのブランドイメージに良く合致するSEは、もう少し高い支持を得るのではないだろうか。
フォルクスワーゲン・トゥアレグ 3.0 V6 TDI 4モーション SEのスペック
価格:4万5445ポンド(649万円)
全長:4878mm
全幅:1984mm
全高:1702mm
最高速度:217km/h
0-96km/h加速:7.5秒
燃費:12.2km/L(WLTP複合)
CO2排出量:214g/km(WLTP複合)
乾燥重量:2070kg
パワートレイン:V型6気筒2967ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:231ps/3250-4750rpm
最大トルク:50.7kg-m/1750-3000rpm
ギアボックス:8速オートマティック