【カーシェアサービスに注力】スマートEQ フォーツーに試乗 純EVに一本化
公開 : 2020.02.02 10:20
2020年モデルとして軽い手直しを受けたスマートEQ。チャーミングなスタイリングを備えるものの、EVとしてのハードウェア部分のアップデートが必要だとする英国編集部。スペインの一般道で評価しました。
EVのみとなった現代のスマート
スマート・フォーツーのボディデザインは相変わらずチャーミングながら、取り巻く市場は変化している。
ダイムラー社は、スマート・ブランドの半分を、中国のジーリー・ホールディング・グループへと売却した。ジーリーといえば、ボルボやロータスの親会社であり、窮地にあるアストン マーティンも傘下しようかという巨大企業。
スマートも次世代モデルは、2022年までに中国へ生産拠点を移す計画がある。Bセグメントのクロスオーバーが登場する可能性も聞こえてくる。
現行のスマートにも大きな変更がもたらされ、販売されるモデルは純EVのみとなった。だが、2019年に述べ11万8000台を販売していたスマートだが、ゼロ・エミッション版は1万8000台程度に留まっている。
大胆なモデルラインナップの変更ながら、正しく、唯一の方向でもあるのだろう。とにかく2022年までは、このスマートと呼ばれるクルマは存続する。今回のフォーツー・クーペのほか、カブリオとフォーフォーも、大きな手直しは加えられていないけれど。
昨年までの3気筒エンジンは消滅。LEDヘッドライトと大きなフロントグリルを獲得しているが、ボディデザインに大きな違いはない。すべてのスマートのドライブトレインは、81psを発生する活発な電気モーターと、容量17.6kWhのバッテリーで構成される。
内容は従来のEV版スマートと同じ。現行モデルに対しては、今後のアップデートも期待できなさそうだ。
今も個性的で興味が湧く存在
1994年にダイムラーに買収され、未来のパーソナル・トランスポートの実験場的な立ち位置だったスマート。今でも未来を見据えたブランドであることには変わりないが、デザインやメカニズムより、現在はデジタル技術の開発に注力している。
2020年版のスマートには、「レディ・トゥ」と呼ばれるアプリ・サービスを採用。スマートのオーナーが希望すれば、他者へスマートを利用することを許可し、乗ったぶんだけ課金できるシステムも内蔵される。
それ以外の大部分は従来どおりだが、均質化が進むような現代にあって、スマートはまだ個性的で興味が湧く存在ではある。フォーツーは発進時から好感触だ。
運転席に座ると、シートはエネルギー利用の少ない都市部向けに合わせた形状であることがわかる。かなり肉厚のAピラーが左右にせり立つが、着座位置は高めで前方視界はかなり広い。
車内には、ネットやトレイなど、いくつか小物入れが追加されている。前衛的なデザインに感じられる一方で、部分的に肉薄なパネルや安っぽいプラスティック製部品が目に付く。ハンドブレーキなどは特に、雰囲気を壊していると思う。
スマートEQ フォーツーのラインナップはかなりシンプル。15インチのアルミホイールにハロゲンのヘッドライト、7インチのインフォテインメント・モニターを装備するパッションがエントリー・トリムグレード。
その上のパルス・プレミアムには16インチのアルミホイールにパノラミックルーフなどが付く。トップ・トリムグレードのプライム・エクスクルーシブは2300ポンド(32万円)増しだが、LEDヘッドライトにヒーター内臓のレザー張りシート、アンビエントライトが追加される。