ロードテスト ヴォグゾール・コルサ ★★★★★★★☆☆☆
公開 : 2020.02.01 20:50
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
PSA傘下に入り、全面的な計画見直しを敢行した新型コルサだが、開発はドイツ・リュッセルスハイムにあるオペルの拠点で進められた。生産はスペイン・サラゴサの、1982年にオペルが創設した工場で行われる。
これまでと大きく変わったのは、PSAのモジュラープラットフォームに、キャビンの後退した2ボックスのボディを組み合わせたこと。そのシルエットは、ヴォグゾールのエンジニアの言葉を借りれば、以前よりバンっぽさがかなり薄まったものだということになる。
それがプジョー208に似ていても、驚くには値しない。また、寸法も同等になっている。先代コルサと比較すれば39mm長いが、いっぽうで48mm低く、1mm狭い。
全体的に見ると、控えめながらエレガントで、目を引くプレスラインや、細長いヘッドライトとグリルを採用している。魅力的だが208を霞ませるほどでないのは、PSAの意向が反映されてのことかもしれない。
われわれがコルサに望み続けていたのは、より高効率なパワートレイン。それが、ついに実現した。
おそらく最量販機種となりそうなのは1.2L直3で、75psの自然吸気と、100psのターボが設定される。自然吸気は5速、ターボは6速となるMTを選べば、18km/Lを超える仕様も。ターボに設定されるアイシン製8速AT搭載車でも、それに近い燃費をマークする。
ディーゼルは1.5L直4のみで、24km/L前後の優れた経済性を誇る。このほか、EV仕様のコルサ-eをラインナップ。エンジン車はいずれも、CO2排出量が100g/kmを切り、コルサ-eの航続距離はWLTPモードで330kmを超えるという。
サスペンションは全車とも共通で、フロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビーム。このクラスでは標準的なセットアップだ。
これまでのコルサは、オペル仕様とヴォグゾール仕様でステアリングのチューニングを変えていた。かたやアウトバーンも視野に入れたスタビリティを、かたやB級道路も想定した切りはじめのレスポンスを、それぞれ重視してのことだ。新型では、この設定が共通となった。
ダンパーは、これまでのコルサよりホイールコントロールを明らかに改善したとか。これは接地性の向上と、自然なドライビングのためにESPの介入を抑えるのが狙いだ。
先代比100kg以上の軽量化というのも、エンスージアストの評価を得られそうなポイントだ。主な重量削減ポイントは、15%の剛性アップも果たしたボディで40kg、エンジンで平均15kg。あとはアルミボンネットなど、さまざまな策を重ねたことによるものだ。