ロードテスト ヴォグゾール・コルサ ★★★★★★★☆☆☆
公開 : 2020.02.01 20:50
走り ★★★★★★★☆☆☆
絶え間ない雨の中、100psのテスト車はスタートでのトラクション不足に悩まされながら、0−97km/h加速で11.2秒をマークした。
しかし昨年、同じようにコンディション不良の中でテストした95psのポロは、コンマ5秒ほど早かった。今回のコルサより小さい、185幅の15インチタイヤを履いていたにも関わらずだ。悪くはないが圧倒的ではない水準、といったところだろうか。
コルサの8速ATは、MTだったポロより発進がトリッキー。それが、タイムへ如実に反映されたかたちだ。
ところが、それだけでは、0-161km/hに至ると4.1秒にまで差が広がる理由を説明できない。ポロより車重は軽く、パワーもトルクも上で、中間ギアの数が多いのだから。
コルサはトルクが太いので、公道上ではパンチに欠けることがない。最新のターボユニットを積むライバルの中には、これよりリニアな加速を見せるものもある。
低中速域でのパワーデリバリーは、ちょっとブーストが効いたところを見せるが、スピードの上がり方には好ましい元気さがあり、手ひどく裏切られたと思わされることはない。市街地での走りでも、高速道路の速度域でも、それは変わらない。
それは、テストデータにも存分に表れている。変速ありでの48-113km/h加速は11.5秒で、ポロとの差はほんの0.3秒。1.2Lエンジンのパワーデリバリーは、回転が高まるにつれこわばった印象を覚えはじめるが、ライバルに劣らぬフレキシビリティを発揮する。
われわれは4速固定での加速性能を柔軟さの指標としているが、これで計測した48-113km/hタイムは12.7秒。2017年にテストした125psのフィエスタは、14.8秒かかった。
もちろん、この差はコルサが8速ATを積んでいることが一因だ。そうはいっても、上々の結果であることは否定できない。
この8速ギアボックスは十分に有能だ。それでもテスター陣は、6速MTのほうが好ましいはずだという意見で一致した。めんどくさがりや、運転に興味がないユーザーなら、ATのほうがうれしいだろうが。
シフトの作動ぶりはなめらかだが、ときどき変速がもたつく。また、ブレーキペダルはアシストが効き過ぎた、柔らかいフィールなところがある。
とはいえ、減速はおおむねスムース。ステアリングコラムから生えたシフトパドルでは、申し分ないほど積極的にマニュアル変速できる。必ずしも、期待したほど素早くはないのだが。