【雪国に朗報】よる寝ている間に自動除雪の時代、すぐそこに? 5G(第五世代通信)がキー

公開 : 2020.01.31 10:56  更新 : 2021.10.09 23:54

福井県永平寺町(えいへいじちょう)で、5Gの通信設備を仮設し、町の所有する除雪車を使ったデモンストレーションを行いました。双方向でリアルタイムな映像を送ることで、除雪作業を効率化。詳細をみていきます。

暖冬だからこそ、最悪シナリオ想定

text:Kenji Momota(桃田健史)

24時間、自動で除雪してくれる!?

雪国の人にとって夢のような時代に向けた、第一歩が始まった。

キーワードは、5G(第五世代通信)だ。

場所は、福井県の永平寺町(えいへいじちょう)。道元が開山した、曹洞宗の大本山・永平寺があることで世界的に知られる。

町の施設「四季の森」に、2020年1月29日~30日、5Gの通信設備を仮設し、町の所有する除雪車を使ったデモンストレーションを行った。

実証試験のきっかけは、総務省が2018年に行った5Gを活用したアイディアコンテスト。永平寺町のアイディアが見事、地域課題を解決する賞を獲得した。

このアイディアを基盤として、早期に実現可能な実証試験が行われたというわけだ。

今回は自動運転ではなく、双方向でリアルタイムな映像を送ることで、除雪作業を効率化されるというシナリオだ。

ただし、周囲には雪がない。

今シーズン(2019年~2020年)は全国的に暖冬。北海道や東北のスキー場では雪不足でオープン時期が遅れたり、また東京では1月後半で日中の気温が20℃近くまで上がるなど、例年と比べて暖かい冬となっている。

北陸でも状況は同じで、永平寺町周辺でも積雪はまったくない。

だが……。

生活の中で、除雪の負担はとても大きい

だが、この地域は数年に1度、大雪に見舞われることがあり、2年前(2018年頭)は2mを超える積雪に。町内の道路や、近隣の北陸自動車道などが通行止めになるなど、交通が大混乱となった。

暖冬のいまだからこそ、最悪のシナリオを想定する必要があるのだ。

実証試験に先立ち、永平寺町の河合永充(かわいひさみつ)町長は「2年前の豪雪では、町の職員が昼夜を問わず勤務することになり、除雪がいかに大きな社会課題なのかを実感した。効率的な除雪対策は急務だ」と、挨拶した。

町として所有する除雪車は19台。その他、委託事業者の車両を含めると町内では55台が利用できる。

2年前の豪雪では、この55台が24時間フル活動しても、除雪が間に合わないという状況だった。

除雪を担当する建設課を含めて、職員の多くが除雪車を運転できる免許を所有していて、日中は委託業者が除雪し、夜間から朝までは町職員が除雪車に乗った。

しかも、除雪の依頼や苦情など、町役場には1日約700件の電話での問い合わせがあり、その対応だけでも大変だったという。

「勤務体制は課によって違ったが、最も降雪が多かった1週間は、町職員の多くが睡眠時間は1~2時間程度だった」(総合政策課担当者)と、当時を振り返った。

記事に関わった人々

  • 桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?

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