【F1の技術を応用したHV】ルノー・クリオ(ルーテシア)Eテック 試作車へ試乗
公開 : 2020.02.03 10:20
1.6L 4気筒は日産製MPIエンジン
ガソリンエンジンは142psの1.6L自然吸気4気筒エンジンで、ベースとするのは、ロシアや南アフリカ向けに日産が開発したMPIエンジン。エアコンのコンプレッサーやウォーターポンプなど、補機類はすべて電気で駆動され、補機ベルトがないところが注目だ。
ドッグクラッチ4速トランスミッションは、2速のトランスアクスルが組み合わされ、8速までのギア比を備える。どちらにもニュートラルが備わり、ギア比は理論的に15段まで選択することが可能となる。
エンジンやモーターは、ボンネット内に搭載。1.2kWhの容量のリチウムイオン・バッテリーは、荷室の床下にレイアウトされ、重さは38kgだという。燃料タンクは小さく、車重は1.3LのデュアルクラッチATを持つクリオ(ルーテシア)と比べて10kg増しとなっている。
始動時、エンジンの熱で車内を温める必要がない限り、エンジンは起動しない。基本的にクリオ(ルーテシア)Eテックは電気モーターで走り出し、16km/hまでをカバー。その後、2基目のモーターがエンジンを始動させると、すぐにシンクロモードに切り替わり前進をサポートする。
ドライブモードは複数を用意。エコモードでは、バッテリーに余力がある限り、70km/hの速度域までをEV状態優先で走行できる。ハイブリッド・モードでは、ガソリンエンジンと電気モーターを組合せ、燃費効率を最大まで高める。スポーツ・モードは、走行性能優先だ。
エンジンとモーターの複雑な動き
シフトレバーで回生ブレーキの設定が選べ、アクセルペダルを戻した時の回生ブレーキの効きを強くできる。キックダウン・スロットル機能は、すべての動力源を用いて力強い加速が得られるもの。エコ・モードは一時的にキャンセルされる。
フルパワーでの走行を長時間続けると、2基目のモーターが、メインモーターの駆動のためにバッテリーの充電を始める場合がある。また最低充電量を保つため、エンジンはしばしば意図せずに始動。制限速度より高めのスピードで走行し続けると、充電のために、本来より高い回転数をエンジンが保つ場合もあるようだ。
またエンジンは、アクセルを戻しても数秒間高い回転域を保つ癖がある。ドグクラッチのトランスミッションは、時々耳障りなノイズを響かせる。スポーティな走行も期待はできないが、今回の試乗車はプロトタイプということで、完全に仕上がったシステムではなかった。
しかし、ほとんどの場面でドライビングの印象は良い。トヨタ製システムのような、ラバーバンド・フィールもない。
ボディにはハイブリッドを示すエンブレムが3つ付き、ダッシュボードに電力量や航続距離が表示される以外、見た目は通常のクリオ(ルーテシア)と同じ。現状では区別は殆どできないだろう。
コースには石畳の敷かれたフランスらしい道も含まれていたが、乗り心地は落ち着いており、きついカーブを曲がってもボディロールは控え目。クリオ(ルーテシア)らしく、良く走った印象だ。