【EV投資2025年まで延期】億万長者ストロール アストン マーティンの株式取得 長期計画、大幅変更
公開 : 2020.02.04 09:50
カナダの億万長者ローレンス・ストロールが、アストン マーティンの一部の株式を260億円で買収しました。EVへの投資を2025年まで延期するなど、大幅な変更が加えられていくようです。
アストン マーティンへの投資
億万長者のローレンス・ストロールが率いるコンソーシアムは、アストン マーティンの16.7%の株式を1億8200万ポンド(260億円)で買収した。
ロンドン証券取引所への提出によって、今朝確認されたこの取引には、3億1800万ポンド(455億円)の現金入金も含まれていて、あわせて5億ポンド(715億円)のブーストを同社に与えたこととなる。
ストロールが所有するレーシングポイントF1チームは、2021年以降、アストン マーティンF1ワークスチームとして新しい取引条件の下、リブランドされる。
アストンは、ハイパーカーのヴァルキリーを今年発売し、ミドエンジン・モデル戦略を継続することを約束している。
また、プレミアム・ブランドであるラゴンダの再発売を含む、EVの発売を2025年まで遅らせることを明らかにしている。
投資の一環として、ストロールは会長としてアストン マーティンの取締役会に参加し、コンソーシアムのメンバーとして、2人目の取締役を任命する権利も獲得する。
ストロール投資後の変更点
主な変更点は、以下の通り。
ローレンス・ストロールが、投資コンソーシアムをリード
ローレンス・ストロールが、アストン マーティンの会長に就任する
CEOのアンディ・パーマーは、留任
ジョブとコストの削減
アストン事業計画の改訂
ヴァルキリーを年内に発売後、ミッドエンジン・ヴァルハラも続けて発売
ミッドエンジン戦略を継続、2022年に発表する
ラゴンダは少なくとも2025年まで発売延期
電動ラピードEプロジェクトの中断
ストロールのレーシングポイントF1チームが、アストン マーティンとしてリブランド
アストン マーティンの新しい株式構成
ロータスの所有者であり、スマートの一部所有者でダイムラーの重要株主である、中国のジーリーホールディングも、今回の取引を希望していたが、ストロールが勝ち取っている。
16.7%の株式を確保するため、JCB会長のアンソニー・バンフォード、元パワー・コーポレーションCEOアンドレ・デスマレー、香港のファッション投資家サイラス・チューら著名人が名を連ねるコンソーシアムが、アストン マーティン・ラゴンダの4560万株の普通株を1株あたり4ポンドの価格で購入した。
5億ポンド(715億円)の投資には、キャッシュフローを改善するための5550万ポンド(79億円)の短期資金が含まれており、完全な株式分配が完了した時点で、返金される予定となっている。
同社は、今回の投資は「キャッシュフローを改善し、DBXの生産増加と業績の回復に資金を供給する」ために使われると述べている。
アストン マーティンは、「キャッシュフローを即座に改善し、借入金を削減するためにバランスシートを強化する」と述べている。
アストン マーティンの価値は、2018年には評価額45億ポンド(6437億円)と言われていたが、現在の株式発行によると約10億ポンド(1573億円)となる。
同社の株式の大部分は、クウェートに本拠を置くAdeem Primewagonグループが保有している。
イタリアのPEグループ、インベストインダストリアル傘下のストラテジック・ヨーロピアン・インベストメントグループが約3分の1を保有してい。
2つのグループは以前、合計61%のアストンマーティンの株式を所有していたが、ストロールのコンソーシアムの株式取得によって50.5%に減少する。
メルセデス・ベンツの親会社であるダイムラーも同社の4%の株式を所有している。