【電動4輪駆動】フォルクスワーゲン アイスレースでゴルフeR1コンセプトを披露
公開 : 2020.02.02 16:50
デュアルモーターを搭載した電動4輪駆動のフォルクスワーゲン・ゴルフが、オーストリアで開催されたアイスレースに姿を現しました。そのテクノロジーは将来の電動高性能モデルにつながる見込みです。
将来に向けたテクノロジーを先行公開
フォルクスワーゲンは、ゴルフRをベースにした電動4輪駆動のコンセプトカーを、今週末にオーストリアで開催されたアイスレースの会場で発表した。これは同社のパフォーマンス・ブランド「R」から、将来登場する高性能電気自動車のテクノロジーを先行公開する役目を担っている。
フォルクスワーゲンは、過去にも多くのイベントで、モータースポーツをベースに開発されたコンセプトカーを走らせている。オーストリアのツェル・アム・ゼーにある空港に作られた雪と氷のコースを走行したこのマシンもその1つだ。
しかし、パイクスピーク・ヒルクライムで史上最速記録を樹立したID.Rや、そのほか多くのビートルやゴルフRベースのコンセプトカーとは異なり、このeR1と名付けられたマシンには、同社モータースポーツ部門を率いるスヴェン・スミーツによると「将来の展望」が込められているという。
ID.R開発の実験車両
技術的な情報は明らかにされていないものの、この電動ゴルフはID.Rのツインモーター・パワートレインを開発するための実験車両として製作された。そして今後は「将来のフォルクスワーゲンRによる高性能モデルのアンバサダー」として使われるという。フォルクスワーゲンのR部門では現在、新型電気自動車ID.3をベースにしたRモデルの開発が行われており、2024年までにID.3 Rとして発表される見込みだ。
現在フォルクスワーゲンRを率いる元レーシング・ドラバーのヨースト・カピトは、このeR1について「どんなレースの規定にも合致していません。レースに出場するために製作したクルマではないのです。そうではなく、われわれはこのクルマを、電気自動車の高性能モデル開発に関する経験を得るために、またそのテクノロジーを皆様にお見せして、楽しんでいただくために使うつもりです」と語った。プロモーション・イベントは、欧州のみならず米国でも予定されている。
カピトによれば、eR1という名称は、これに続くモデルが計画されているということを示唆するために選ばれたという。「これで終わりではないということです。次は1に続く2という数字が、名称に使われるでしょう」。
ID.Rの挑戦は今年も続く
このクルマは、ツーリングカー・レース用車両のゴルフTCRのボディシェルを使っている。しかし、その内部には電気による4輪駆動システムが搭載されており、そういう意味ではラリークロス用マシンに近い。フォルクスワーゲンは以前、ID.Rの最高出力680psを発生するツインモーター・パワートレインを開発するため、ゴルフTCRに搭載して走らせていた。
このシステムを搭載したゴルフが、市販車またはレース用車として生産される可能性は低い。VWは電気自動車を、IDと名付けられた一連のモデルに集中させようとしているからだ。
フォルクスワーゲンは今後も、ID.Rに続く完全電気駆動の車両を使ったモータースポーツ・プロジェクトに携わっていくつもりだ。ID.Rは既に、パイクスピークだけでなく、グッドウッドや中国の天門山で、最速記録を樹立してきた。ニュルブルクリンク北コースでもEVの最速タイム更新に成功している。チームは今年、カリフォルニア州ソノマ・レースウェイで、メルセデスF1のラップタイムに挑戦する予定だ。グッドウッドにも改良型のID.Rエヴォを持ち込み、さらなるタイム更新に挑む。