【走りは、ベテランの味】グランエース試乗 価格/サイズ/内装/アルファードとの違いを評価

公開 : 2020.02.02 19:20  更新 : 2021.12.28 00:08

先進安全装備で比べると……

夜間歩行者対応のプリクラッシュセーフティやBSM、自動制動機能を持つRCTAなど安全&運転支援機能は最新仕様。全周俯瞰表示が可能なパノラミックビューモニターやデジタルインナーミラーも標準装着だ。

しかし、ACCは高速対応で約30km/hが作動下限。車線維持は逸脱しそうな時にブレーキによる進路補正を行うものの、自動補正操舵や走行ライン制御機能はない。

全周囲&フロントビュー、デジタルメーターをはじめ、取りまわしの負担を少なくする装備は市街地では重宝する。
全周囲&フロントビュー、デジタルメーターをはじめ、取りまわしの負担を少なくする装備は市街地では重宝する。

最新モデルながらアル&ヴェルと比較するとトヨタ・セーフティセンスは簡易型の印象もある。これはアル&ヴェルとの適応用途の違いの現れでもある。

アル&ヴェルなら高速長距離ツーリングは欠かせない要点の1つである。ACCは渋滞追従可能な全車速型となり、車線維持は前走車追従機能も備えた走行ライン制御型となる。

「買い」か?

さらにオーナードライバーにとってドライビングの満足感も重要だろう。心地よいパワーフィールや操縦感覚、ドライビングのアレンジ領域の広さ等々も大切だ。クルマの価値は「オーナードライバー≧同乗者」であり、その関係は亭主と客に喩えられる。

もちろんアル&ヴェルで送迎されても、かなりもてなされた気分になれるし、VIPカーとして用いられることも多いと聞いている。

グランエースGのフロントシート
グランエースGのフロントシート

ならばVIP送迎用途に特化したモデルを開発したら……、という流れでグランエースなのである。価値は「ドライバー<後席乗員」なのだ。

グランエース・プレミアムの価格は650万円。ミニバンとしては相当高価だが、アルファード・エクゼクティブラウンジ(V6車)はそれを上回る約727万円である。後席4名の寛ぎならアルファード以上なのに80万円も安いのである。

ハイヤー等々の法人需要が大半になると思われるが、大切なゲストをもてなすための費用対効果は極めて高い。

トヨタ・グランエース 試乗車スペック

グランエース・プレミアム

価格:650万円
全長:5300mm
全幅:1970mm
全高:1990mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:10.0km/L(WLTCモード)
CO2排出量:259g/km
車両重量:2740kg
パワートレイン:直列4気筒2754ccターボ
使用燃料:軽油
最高出力:177ps/3400rpm
最大トルク:46.1kg-m/1600-2400rpm
ギアボックス:6速オートマティック
乗車定員:6名

グランエースG(差分のみ)

価格:620万円
乗車定員:8名

8人乗りとなるグランエースG
8人乗りとなるグランエースG

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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