【最後の戦い】真のファミリーSUV対決 ホンダCR-V vs マツダCX-5 前編
公開 : 2020.02.09 05:50
パワートレイン対決
コーナーでは素晴らしい重みを感じさせる正確なステアリングがドライバーに自信を与え、CR-Vをやや上回るほどの見事なシャシーとサスペンション・セッティングが、優れたレスポンスとダイレクトさを発揮する。
こうした点からは、次期ファミリーカーにクラス最高のダイナミクス性能など求めていない一般的なドライバーであれば、CR-Vこそがこの対決の勝者だと思うかも知れない。
だが問題は、これまでの評価がそれぞれのモデルが搭載するパワートレインに関係がないということだ。
そして、それぞれが搭載するパワートレインの比較を通して、「セルフチャージング」ガソリンハイブリッドシステムが、ディーゼルを市場から追いやるほどの存在かどうか見極めようとするなら、事態はより複雑となる。
実際の路上では、CX-5が積む2.2Lディーゼルの力強いトルクが十分な余裕を感じさせるとともに、素晴らしい加速性能を見せる。
CR-Vの電気モーターが発揮する瞬時のトルクも決して大きく劣る訳ではないが、比較的ゆったりとしたホンダのスロットルレスポンスがその加速力をスポイルしている。
市街地 vs 高速道路
市街地でのリラックスした一定速度での走行であれば、ホンダのほうが静かでスムースだが、ひとたびキックダウンが必要になると、CR-Vのエンジンルームからはまるで掃除機のような騒音が聞こえ始め、それまでの静けさ打ち破るかのように、シングルスピードのギアボックスがエンジン回転数を急上昇させる。
CX-5の方も決して禅の精神を感じさせるほど静かというわけではないが、マツダのSkyactiv-Dエンジンは常に洗練性を売りにしてきたのではない。
それは前回のテストですでに分かっていたことだった。
つまり、洗練性とパフォーマンス、さらに実用性という点で、永遠ではないが、いまのところディーゼルが最高の存在だということだ。
燃費性能にそれほど大きな違いはない。
典型的なA級路とB級路が入り混じったロングクロスのテストコースで行った24kmの燃費測定テストは、わずかな差でホンダの勝利に終わっている。
CR-Vのトリップコンピューターが18.4km/Lを示したのに対し、CX-5は18.0km/Lだった。
燃料タンクのサイズ(CR-Vが57L、CX-5は58Lだ)を考慮すると、理論上の最大航続可能距離の差はわずか3.2kmに留まる。
もちろん、市街地ではホンダがマツダよりも優れた燃費性能を発揮するだろうが、高速道路ではおそらく逆転することになるだろう。