【PHEVの新SUVが欧州で登場】ボクソール(オペル)・グランドランドX
公開 : 2020.02.05 10:20
硬めの乗り心地、ベーシックな車内
トランスミッションは素早くキックダウンし、エンジンからは張り詰めたノイズが響いてくる。CVTのように、不要に吹け上がるということもない。活発な加速を楽しんだのなら、目的地で充電ケーブルにつなぐ手間も、些細なものに感じられるかもしれない。
グランドランドXは、PSAグループのEMP2プラットフォームを採用しているが、ボクソール(オペル)はその中でも高いダイナミクス性能を与えたとしている。だが、カーブの続く道を走っても、得られる満足感は限定的なものではある。
さほど速度の高くないコーナリングでも、ボディロールは顕著。1800kgの車重を実感する。スポーツ・モードを選んでも、ステアリングホイールの操舵感が不自然に重くならない点は好印象だが、フィードバックが濃いわけではない。
試乗コースの滑らかな路面でも、乗り心地は硬めに感じた。スタッドレスタイヤを履いていたが、乗り心地に良い影響はなかったようだ。しかし、細かな凹凸やうねりを超えても、安定性を欠くことはない。英国の道ではどんな乗り心地となるのか、確かめてみたいところ。
ダッシュボードなどインテリアのデザインは、姉妹モデルのプジョー3008よりベーシックな雰囲気。安っぽく見えるプラスティック製パネルなどは視線より下に用いられているものの、4万5000ポンド(643万円)クラスの車内としては、少し物足りない。
メーターパネルには、アナログメーターに小さなLCDモニターがレイアウトされ、プジョー製iコクピットより、ひと世代昔の印象がある。インフォテインメント・システム用のモニターは8インチで、画質もさほど良くはない。アンドロイド・オートとアップル・カープレイに対応するから、優れた代替システムとして利用できる。
選ぶならミドルグレード
PHEVとしての車内空間への影響は、荷室空間のみ。リアシートは足元も頭上も十分な空間がある。荷室容量は、390Lと小さい方だが、ほとんどの面で実用的なファミリーSUVと呼んで良いだろう。
プラグイン・ハイブリッド化は、燃費にも税金的にもメリットは大きく、グランドランドX ハイブリッド4を目にする機会は、英国で増える可能性は充分にある。だが、トップグレードが選ばれるかどうかは別ではある。
トップグレードの価格を知ると、インテリアや乗り心地で、ライバルより割高に感じられても仕方ない。月払いのローン金額で比較すると、アウディQ5のプラグイン・ハイブリッド版との差は小さく、選ぶべきトリムグレードとは思えない。
ミドルグレードなら、グランドランドX ハイブリッド4の魅惑的なダッシュ力と経済性には、優れた訴求力が出てくる。自宅や通勤先で充電できる環境があるのなら、選択肢の1つとしての可能性は充分にあるだろう。
ボクソール(オペル)・グランドランドX ハイブリッド4 ウルティメイト・ナビのスペック
価格:4万6650ポンド(667万円)
全長:4477mm
全幅:1856mm
全高:1609mm
最高速度:234km/h
0-100km/h加速:5.9秒
燃費:72.2km/L(WLTP)
CO2排出量:−
乾燥重量:1800kg
パワートレイン:直列4気筒1598ccターボチャージャー+ツイン電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps(システム総合)
最大トルク:52.9kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック