【理想的なガレージの3台】マクラーレン720S(5) ゲレンデと2CV 長期テスト
公開 : 2020.02.08 18:50
秀逸のコーナリング性能を備えたマクラーレン720S。世界でも最も優れたドライビングマシンの1台であることには間違いありません。そんなスーパーカーと毎日を満足して過ごすことはできるのか、長期テストで確認します。
積算 8074km マクラーレンP1との性能差
ハイパーカーのマクラーレンP1に対し、マクラーレン720Sはどんな戦いを披露するのだろう。わたしの予想は5年前のハイパーカーと現代のスーパーカーとは、ほぼ同じ性能だろう、というもの。
予想通り、加速はほぼ同じ。マクラーレンP1の方がコーナリングスピードは高く、エキサイティングだったが、より軽量な720Sのフィーリングの方が好きだと思った。
積算 9039km 夢のガレージに納める3台
クルマ好きなら、1度は想像したことがあると思う。ガレージに納めたい理想の3台。実際の暮らしを念頭に置いたのなら、決して選べないようなクルマが思いつくだろう。
高速道路を自由に走れる世界があって、しがらみもなく、ガソリン代もガレージの広さも気にする必要がないほどのお金持ちだったとしたら。手に追えるクルマではなく、本当に欲しいクルマと一緒に暮らせるとしたら。
きっとそんな条件で選んだクルマは、コストとは無縁の、人生に最適なクルマとなるはず。少なくとも40年ほど、このテーマであれこれ理論を立てて考えてきた。
実はわたしが幼い頃から、父と兄弟3人で理想のクルマについて、毎朝話をしていた。その間、母は天井を見ながら、どこかに助けを求めているようだった。その時には、1つの法則があった。必ず選ぶのは3台。2台でも4台以上でもなかったのだ。
ベンツGクラスとシトロエン2CV
読者は理想的なガレージに納める3台として、何を選ぶだろうか。選ぶ時のルールは、現実世界で実際に乗れるクルマ。F1マシンやルマンの優勝モデルだけを選ぶことはできない。一度手に入れたら売却はできず、生涯一緒に暮らさなければいけない。
これまで筆者は、何千という3台の組み合わせを考えてきたと思う。しかしその組み合わせの1つとして、現実世界での実際の暮らしに加わったことはなかった。
ところが偶然にも、あえて集めようと努力したわけでもないのに、自宅の外に3台が並ぶ機会がやってきた。長年仕事をしてきたが、こんなことは初めてだ。やっとその景色を目にすることができた。
マクラーレン720Sは理想の1台だが、以前から長期テストで乗っている。連載が終わればいなくなってしまうが。理想の1台として最後に加わったのが、メルセデス・ベンツG350d。日本では通称ゲレンデと呼ばれているSUVモデルだ。
メルセデス・ベンツは、もちろん日常の足。何でもできるし、どこへでも行ける。短くてありふれた自動車旅行でも、素晴らしい体験に変えてくれるだろう。場違いなシーンもないし、到達できない目的地もない。
もう1台は、シトロエン2CV。この3台のなかで、筆者が実際に所有している唯一のクルマだ。現代の自動車に対するアンチテーゼ。不滅の、運転する楽しさを味わわせてくれるクルマ。
燃費も良いからガソリンが少しでも手に入れば走れる。限界値は低いし、路面にも激しく影響を受ける。しかし、クルマを運転する楽しさは濃い。