【未来型ディーラー降臨】「アウディシティ紀尾井町」とは何か? プレミアムカー販売の未来
公開 : 2020.02.05 11:29 更新 : 2021.10.09 23:54
アウディシティ紀尾井町が果たす役割とは
アウディシティ紀尾井町の内部に入ると、展示車用スペースは約3台分とコンパクトな造り。
総面積は一般的なアウディディーラーの半分程度となる約270平米。
室内造形には、LEDライトやアウディデザインモチーフを散りばめた。
約100平米の地下には和を題材とした空間を設えた。
また、1階には仮想現実VR(バーチャルリアリティ)を活用して、クルマの色や室内造形を体感できる専用スペースもある。
こうした室内だけを見ると、ブランド発信拠点として意味合いが強いように思えるが、実は30台分の駐車場があり、各モデルの試乗車がズラリと勢揃いしている。
また、店舗の道を挟んだところに来客用に10台分の駐車スペースも確保しており、気軽に都会クルージングしながら新車試乗できる体制を整えている。
地方都市では、広々とした室内空間がある大型のアウディ店舗が実在する。一方、都心では、ここアウディシティ紀尾井町のように、アウディジャパン直営でアウディブランドを凝縮した体感を提供する。
関係者によると、日本では東京以外でのアウディシティ開設の可能性はゼロではないという。
さらには、もう1点、アウディシティというコンセプトで気になることがある。
新車ネット直販の時代は来るのか?
今回の発表で、ノアック社長はじめアウディジャパン関係者が強調したキーワードが、デジタリゼーション(デジタル時代化)だ。
いま、自動車産業界は、自動運転、電動化、通信によるコネクティビティ、そしてシェアリングエコノミーによる大きな時代変革期に突入している。
そうした中で、近年話題となっているのが、カーディーラーの在り方だ。書籍、家電、食品などをスマホで買うのが当たり前となった、eコマース(電子商法)の波は確実に、自動車にも及んでいる。
アウディシティは、こうしたeコマースを狙った戦略の一環なのだろうか?
この点について、アウディジャパン関係者は次のように話した。
「いま、自動車販売はeコマースへの変革期であることは間違いありませんが、すべてがeコマースになる時代がいつ来るのかはまったく予想できません」
「そのうえで、われわれのようなプレミアムカー分野では、実際にクルマに触れる機会、営業マンやセールスエンジニアと直接話す機会があることが、お客様の満足度を上げることだと考えます」
大きな時代変化を全身で感じながら、アウディを味わう。
アウディシティ紀尾井町は、そうした場である。