【欧州は羊の皮的ワゴンが健在】スコダ・スパーブ・スポーツラインへ試乗 271ps
公開 : 2020.02.08 10:20
素早く大陸の移動もこなせる
一方で、4輪駆動システムの実力を発揮させれば、大きなドラマや悪い素振りを見せることなく、素早く大陸の移動もこなせる。タイヤ間のトルクを分配してくれる電子制御デフが備わり、グリップ力も安定性も高い。だが、ドライバーが調整を加えていく自由度までは備わってはいない。
パフォーマンスを色付けているのが、パワートレインの設定。エンジンはターボ過給されるユニットとしては、レッドラインまで気持ちよく吹け上がる。2000rpmをわずかに超える回転域から不満のないパワーを生み出し、高回転域まで活発さは失われない。
だがデュアルクラッチATは、ドライブのままでは充分にエンジンを活かせない。アクセルを踏み込みキックダウンを誘っても、適切な段数を選ぶのに少々時間がかかってしまう。
スポーツモードを選択すれば、ある程度改善はされるが、AT任せでは不要に回転数を高めに保つ傾向がある。そのかわり、低速域での変速はとてもスムーズにこなしてくれる。
それ以外、スパーブの良い面はそのまま。同価格帯として並ぶBMW 3シリーズ・ツーリングやアウディA4アバントと比べても、スコダの広々とした後席と荷室空間は明確な強み。ロンドンのワンルーム・アパートのクローゼットより広いかもしれない。
汎用性を重視した評価なら、必要なものがすべて詰まったクルマ、と表現しても違和感はないほど。プレミアムブランドを好む人なら、スコダの控えめなインテリアを見れば、アウディやBMWを選びたくなるはず。だが、スコダも作り込みは充分良い。
性能を知るほど魅力に気づく
派手で高級感のあるインテリアトリムや、色が変化するアンビエント照明は備わらない。かわりにシンプルで人間工学に基づいた、デザイナーの自信を感じさせる雰囲気に溢れている。
一部は1世代前のデザインだと受け取られるかもしれない。少なくともインフォテインメント・システムはしっかり最新の状態に保たれている。
すべてのドライバーが、必ずしも深い満足感を得られるクルマではないとは思う。だが、クルマの走行性能を知れば、その魅力に気づくだろう。性能をひけらかさない見た目でいえば、2020年に選べるクルマではトップクラスだ。
ここまで来て、最後に落とし穴。オプションをいくつか選択すると、4万ポンド(572万円)を超える英国価格が設定されている。性能と見た目、実用性はプレミアムブランドと変わらないが、価格がブランドイメージに追いついていないことも確かではある。
だとしても、人とは違う選択肢としての魅力は充分にある。これまで以上に厳しい環境規制が敷かれる中で、このようなクルマの命も長くはないはず。少し貯金と相談してみても良いだろう。
スコダ・スパーブ・エステート 2.0 TSI 272スポーツライン・プラス DSGのスペック
価格:3万8665ポンド(552万円)
全長:4862mm
全幅:1864mm
全高:1477mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:5.6秒
燃費:14.0km/L(WLTP)
CO2排出量:159g/km
乾燥重量:1664kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:271ps/5500rpm
最大トルク:35.6kg-m/2000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック