【新型ディフェンダーの故郷】JLRスロバキア工場を訪問 新たな時代の幕開け

公開 : 2020.02.22 18:50

まるで別世界

ニトラ工場はディスカバリーと、90と110、2種類のホイールベースを与えられたディフェンダー向けに設計されているが、その他のディフェンダー・ファミリーもこの工場で生産されることになる。

今後数年内にメルセデスAMG G63のライバルとして、130という名のラグジュアリーモデルが登場予定であり、このクルマは先代ディフェンダーがついに成し遂げられなかった、高い収益性を確保するためのカギを握ることになるだろう。

新型ディフェンダーの故郷
新型ディフェンダーの故郷

ディスカバリーとディフェンダーは同じラインで混流生産され、それぞれの生産台数は任意に設定することが出来ると言う。

レスリーは、「この2台には微妙な違いがあります。例えば、ディスカバリーのテイルゲートは購入品ですが、ディフェンダーの場合は社内で生産しています」と、話す。

「それでも全体として見れば、ラインの生産性を上げるために標準化を進めています。シートはどちらのモデルでも同じステーションで取付けを行うといったようなことです」

このハイテク満載の工場はウエストミッドランズの生産ラインとはまるで別世界だが、新旧ディフェンダーの生産における最大の違いとは何だろう?

「使われているテクノロジーがまったく異なります」と、レスリーは言う。

革新的テクノロジー

「いまディフェンダーとディスカバリーを生産しているボディショップでは642基のロボットが稼働しています。当時ディフェンダーを生産していたボディショップで何台のロボットが稼働していたかは知りませんが、おそらくは1桁だったはずです」

「いまでは環境負荷の少ない高度な技術を採用した塗装ラインが実現していますし、内装工程はわたしがかつて働いていたソリハルとはまったく異なるものです」

1万トン:ニトラ工場のボディショップで使われている鉄骨の重量であり、エッフェル塔と同じだ。 新型ディフェンダーのボディシェルは約400のパーツで構成されている。
1万トン:ニトラ工場のボディショップで使われている鉄骨の重量であり、エッフェル塔と同じだ。 新型ディフェンダーのボディシェルは約400のパーツで構成されている。

「つまり、新旧の生産ラインの見た目は似ていたとしても、その中味は大きく違うということです」

JLRがニトラ工場で初めて導入した数々のテクノロジーのなかでもっとも注目すべきは、ボディショップで採用されている、リニアモーターカーと同じような技術を使った革新的なベルトコンベアだろう。

これまでに比べ30%も速い秒速3.7mという搬送速度を可能にしたクーカ・パルスの採用は、欧州でこの工場が初の事例であり、このコンベアでボディシェルを構成する400ものパーツを運んでいる。

ここで最初に行われる主要工程がアンダーボディとボディサイド、そしてルーフヘッダーの組み立てであり、この工程が終わるとようやくこのボディがディフェンダーのものだと分かるようになる。

ボディショップで責任者を務めるクリスチャン・クラッソンは、「ここでの作業は誤差0.5mm以内の完ぺきさが求められます。ボディシェルの組み立てに必要な作業時間は2分です」と教えてくれた。

アルミニウム製の骨格で必要な強度を確保するため(新型ディフェンダーはランドローバーのラインナップ中で圧倒的に高い強度を誇ると言われている)、3600カ所のリベット止めと170m分の接着が行われる。

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