【新基準となるか?】VW Tクロス(T-Cross)試乗 新コンパクトSUVの価格/サイズ/諸元を評価
公開 : 2020.02.11 11:20 更新 : 2021.12.28 00:09
どんな感じ?
パワートレインの構成は1L 3気筒ターボに7速DSG(DCT)。ポロの標準型と同系統のパワートレインだが、エンジン単体はアップ! GTIと同じ高出力型。
ポロに比べると最高出力で21ps、最大トルクで2.5kg-mも向上。車重はポロ対比で110kg増加しているが、パワーウェイトレシオもトルクウェイトレシオも上回る。
タイヤ周長も含めた総合変速比も多少低め、つまり加速志向となっている。常用回転域の低下と加速性能の向上が主目的と思われるが、極低速域での取り扱い、つまり悪路を慎重に走らせる時にも有効な設定である。
ただし、変速比の差は大きめに見積もっても3〜6%程度である。そのとおり、パワーフィールはポロによく似ている。
軽快、DSGはリズミカル
アクセル開度変化が穏やかで比較的安定している時には、ダウンシフトを堪えてトルクに任せた制御。アクセル開度や速度の変化が大きくなると、早めのダウンシフトでアクセル開度変化を抑えるとともに伸びやかな加速感にシフト。
以前のVW車に比べると余力感は多少減少したが、ドライブフィールが軽快になって、いい意味でコンパクトなSUVらしい。
駐車場での取り回しなど停車から微速を多用する状況や坂道発進での滑らかさではトルコン式のATに多少劣るものの、DSGの歯切れいい変速フィールは山岳路でのドライビングをリズミカルに楽しませてくれる。
実用的かつファントゥドライブなパワートレインである。
足のセッティングについて
フットワークは、試乗車が215/45R18を履くTSIファースト・プラスだったこともあるが、ファミリー&レジャー用途よりも高速ツアラー的な印象が強い。GTI系のVW車ほどではないが、ポロやゴルフの標準系より引き締まった印象である。
高くなった重心高を、あるいは沈み込みストロークを抑え込んだサスチューンにより、切れのいいハンドリングを示す。しかも、ヨー方向の動きを誇張するような表層的軽快感ではなく、前輪に荷重を掛けて深く刻み込むような操縦感覚。
アンジュレーションのある高速コーナーでも方向性の揺らぎは少なく、ライントレース性に優れた弱アンダーステアを維持。コーナリング中の加減速も同様の安定性を発揮し、初見の山岳路でも安心してハイアベレージを維持できる。この辺りの特性はGTI系の血筋を感じてしまう。
路面アンジュレーションなどの煽られるような状況での落ち着きはすこぶる良好だが、路面の継ぎ目などの段差乗り越えでは突き上げが目立つ。つまり乗り心地もGTI的である。
付け加えるなら悪路踏破性を考えると、沈み込みの硬さはロードクリアランス確保に多少役立つが、ロールは締めすぎと思われる。まぁ、悪路に関してはサスチューンの適不適が大きく影響しないレベルの荒れ具合が、Tクロスの射程距離内というわけだ。