【2年で仕上げた期待の星】ボクソール(オペル)・コルサ1.2に試乗 PSA下で再設計

公開 : 2020.02.13 10:20

グループPSAの傘下となったボクソール(オペル)から誕生した、ブランドの主軸モデルとなるコルサ。2021年には、オペルは日本復活も予定されています。CMPプラットフォームを採用した新型を、英国編集部がドイツで評価しました。

グループPSAの元で再設計した新コルサ

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
AUTOCARの試乗記で、冒頭から褒めることは珍しいが、新しいコルサは例外。すこぶる良い。

プジョーシトロエンといったブランドを傘下に持つグループPSA。オペル-ボクソールをGMから19億ポンド(2717億円)で買収したのは2017年だった。

ボクソール(オペル)・コルサ1.2 エリート(欧州仕様)
ボクソール(オペル)・コルサ1.2 エリート(欧州仕様)

5代目へと置き換わる予定だったコルサは、その時すでに数年の開発を終え、最終テストの段階だったという。それにも関わらず、新しいプジョー208と同じように、PSAが有するモジュラーCMPプラットフォームでの再開発を決断した。

理由は3つある。初めに、GM時代のハードウエアを利用する場合、ライセンスを持つGMに対して使用料を支払う必要があったこと。もう1つは、グループPSAのプラットフォームの方が、より汎用性が高く、センサーを用いた運転支援システムや、幅広いレベルでの電動化技術の搭載が可能だったため。

そして、CMPプラットフォームの方には、4気筒エンジンを搭載するのに充分な空間も確保できていた。問題は、オペル・ブランドのベストセラーモデルを開発し直す時間が、わずか2年しかなかったということだった。

AUTOCARの読者ならおわかりかと思うが、自動車の開発を2年で行うことは、通常ありえない。リュッセルスハイムに拠点を置くオペルは、それを実現するべく、経験豊富なスタッフを再配置。彼らは見事成し遂げた。

2度目の開発によって生まれたのが、第5世代目のコルサということになる。お見事。

スタイリッシュで軽量なボディ

見た目は、控えめに表現しても、魅力的に感じられる。デザインは過去のコルサではなかったほど、煮詰められた印象。4代目の少し攻撃的な雰囲気は、張りのある面ときれいな折り目のラインで置き換えられている。

基礎を同じとするプジョー208との共通性も、シルエットからは感じ取れない。CMPプラットフォームによって、スタイルはボンネットとキャビンが別れた、2ボックス感が強くなった。

ボクソール(オペル)・コルサ1.2 エリート(欧州仕様)
ボクソール(オペル)・コルサ1.2 エリート(欧州仕様)

ボンネットは長くなり、フロントガラスはボディ中央寄りに位置している。モノフォルム風だった面影はなくなり、プロポーションはずっと良い。

ボディサイズはプジョー208とほぼ同じで、このクラスでは平均的。一方で4代目と比べると大きく変化している。全長は39mm長くなった一方で、全高は48mm低くなった。空力性能は改善され、見た目もずっとスポーティだ。

全幅は1mmだけとはいえ、狭くなっている。都市部を中心に走るコンパクトカーの場合、全幅は狭い方が良い。他のモデルも追従するかもしれない。

ホイーベースは28mm延長され、車内空間に余裕を与えることにつながる。実際はそれほど広々ではないけれど。

車体は大きくなったものの、ホワイトボディは先代より40kgも軽量化している。フロントシートで5.5kg、リアシートで4.5kg、アルミニウム製のボンネットで2.4kgも削っている。エンジンは平均で15kgも軽くなった。

例えば、最もベーシックなコルサSEの場合、3気筒ガソリンエンジンに16インチホイールが装備されるが、車重は1tを切る。ドライビング・ダイナミクスの改善も期待できる。

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