【横目デザインもセレブ人気】新型キャデラック・エスカレード(5代目) 登場の背景
公開 : 2020.02.11 18:20 更新 : 2021.10.09 23:55
プレミアムフルサイズで独自路線を貫く
フルサイズSUVでに、ラグジュアリーという考え方を最初に取り入れたのは、フォードのプレミアムブランド、リンカーンのナビゲーターだった。
また、ダイムラーがメルセデス・ベンツMクラスをアラバマ州で生産を始めた。
こうした各社の動きに「われわれデトロイト本社上層部が刺激され、エスカレード発売を急いだ」と、GM幹部が90年代末、筆者(桃田健史)の質問に答えている。
2000年代に入ると、プレミアムSUV市場は激戦区となる。走りの良さを追求した、BMW X5。カスタマーサービスを拡充したレクサスRXなどが登場。
さらに、欧州系と日系はコンパクトクラスからフルサイズクラスまで、SUVとクロスオーバーのフルラインアップ戦略を加速させた。
その結果、2010年代にはアメリカ市場の6割以上が、ピックアップトラックとSUV/クロスオーバーを合わせたライトトラックとなり、アメリカの定番商品であるC/Dセグメントセダンの存在感がどんどん薄れている。
こうしたアメリカ車社会の大きな変化の中で、エスカレードは、ラグジュアリーSUVとして、独自の世界観を貫いてきた。
第5世代となっても、デトロイトのキャデラック商品企画チームが時代の風を感じる敏感なセンスで「ラグジュアリーのあるべき姿」を追及している。
その裏には、テキサスでのモノづくりが活きている。
アーリントン工場 エスカレード製造に誇り
テキサス州は、カリフォルニア州に次いでアメリカで自動車販売台数が多い。また、SUV所有者がとても多く、町中やフリーウエイはSUVだらけ。
「テキサスは、SUVカウンティ(群)だ」と自動車業界関係者が揶揄する。
エスカレードの最終組立ては、テキサス州アーリントン工場で行われている。アーリントン市はダラス市街地から車で20分ほどの距離にあり、アメリカン航空の本拠地であるダラス・フォードウォース空港にもほど近い。テキサス特有の平坦な土地に、日系企業を含めたビジネスパークが広がる。
GMアーリントン工場は、1954年創業。90年代以降はフルサイズSUVのマザー工場となった。現在は、エスカレードの兄弟車である、シボレー・タホ、サバ―バン、GMCユーコンが同じ製造ラインで混流生産されている。
筆者はこれまで10数回、アーリントン工場の現場を取材しているが、現場従業員が皆、この工場で働いていることを誇りを思っている。
なかでもエスカレードに対する想いが強い人が多い。
「GMの最上級プレミアムモデルを、手掛けている」という誇りと自信を持って日々の仕事に打ち込んでいる。
SUVカウンティのSUV職人たちが気持ちを込めて、GMプレミアムブランドの象徴であるエスカレードを世に送り出している。
テキサス発、日本でのエスカレード上陸は2021年になりそうか?