【汚いままの白いボディに罪悪感】アウディA6アバント 40 TDI (5) 長期テスト
公開 : 2020.02.15 08:50
煩わしさから開放される極楽空間
簡単にいうならYESだが、正確には少し説明も必要。3750rpmから4200rpmで得られる最大出力は203psで、息を呑むほど速いわけではない。0-100km/h加速は8.3秒だが、ターボ過給が始まるまでに少し待たされる。
だが、英国の現実的な道路環境では、ほとんどの場面で40.7kg-mという太いトルクを目一杯発揮させなくても、幸せを感じられるだけのパフォーマンスを引き出せる。ダイナミック・モードを選択して、郊外の道めがけて、ステアリングホイールに付いたシフトパドルを弾けばいい。
英国の交通法規を外れない範囲で、必要充分以上の走りを楽しめることは、すぐにわかる。プログレッシブにレシオが変化するステアリングホイールには、充分な感触が伝わってこないが、いつものこと。目の前に迫る舗装の剥がれた穴を避けるように、クルマを正確に操ることは至って簡単だ。
アバントの以前に乗っていたサルーンのA6 50 TDIは、4輪駆動のクワトロに4輪操舵も付いていて、喜びはより大きかった。それでも、前輪駆動のステーションワゴンでも爽快に走る。渋滞のない、郊外に伸びる国道を流すのに適している。
4気筒ディーゼルエンジンはスムーズ。スチールコイルのサスペンションとダンピング・コントロールの組合せが生む自然な乗り心地に、一層引き込まれる。
たまには通勤ルートから外れて
多くの人にとっては満足につながる部分だが、スーパーモデルのような佇まいを生む美しい塗装が、冒頭でも触れたが困りもの。すぐに汚れるからだ。長期テストでしばらく乗っているが、変わらず新鮮味を感じる色でもある。
お気に入りのラジオを聞きながら走れば、ブレグジットのイザコザも忘れられる。現実の煩わしさから開放された、極楽のような空間に身を置くことができる。
ドイツ人らしい完璧主義の裏側に隠された、奥深さは、さほどない。パドルシフトで操作していても、ドライバーを見かねてクルマが介入してくることがある。充分楽しめるものの、やはりクルマが制御する範囲内に留まる。
子供を降ろして通勤ルートから外れて、気の向くままに走らせれば、得られる満足感はある。でも、理性を忘れるギリギリまで興奮することはない。アウディが嫌がらない範囲で、気持ちよく走らせるのが良いようだ。
テストデータ
テスト車について
アウディ A6アバント 40 TDI スポーツ Sトロニック
新車価格:3万9850ポンド(557万円)
テスト車の価格:4万6935ポンド(657万円)
テストの記録
燃費:17.5km/L
故障:なし
出費:なし
気に入っているトコロ
電動テールゲート:運転席側のボタンを押すと、大きなハッチが開く。ゲートのボタンを押すと閉まる。面白く満足感のある機能だ。
気に入らないトコロ
タッチモニター:少しでも触れた場所が違っていると、押したいメニューは反応しない。少しイライラしてしまう。